理科
落ちてくる宇宙望遠鏡を救え——NASAが史上初『軌道の押し上げ』に挑む
要点(監修AIの解説)
2004年から稼働するガンマ線バースト観測衛星スウィフトが高度低下で大気圏突入の危機に。NASAは約3,000万ドルで、別の宇宙機をドッキングさせて軌道を押し上げる史上初のミッションに挑む。
解説
アメリカのNASAが運用する天文衛星『ニール・ゲーレルス・スウィフト天文台』は、2004年の打ち上げ以来、宇宙で最も激しい爆発現象『ガンマ線バースト』を観測し続けてきた。ところが近年、この衛星の高度がじわじわと下がり、このままでは大気圏に落ちて燃え尽きてしまう危機に直面した。
高度が下がる原因は、太陽活動にある。太陽の活動が活発になると地球の超高層大気が熱で膨張し、衛星がかすかに大気とこすれて少しずつ速度を失う。速度が落ちると軌道が下がり、さらに濃い大気に入って抵抗が増える——という悪循環で、低軌道の衛星は放っておくと必ず落ちてくる。
そこでNASAは約3,000万ドルを投じ、Katalyst Space社と組んで、別の宇宙機『LINK』をスウィフトにドッキングさせ、軌道を上へ押し上げるという史上初のミッションを実行した。日本時間2026年7月3日にLINKの打ち上げに成功している。新しい望遠鏡を一から作り直すより、まだ使える衛星を延命させるほうが費用対効果が高い、という判断だ。『使い捨てない宇宙開発』への転換を示す象徴的な挑戦といえる。
出典:sorae.info