情報
原子10個の光子を同時に取り出す量子インターフェース。阪大・NICT・浜松ホトニクスが多重度で世界記録
要点(監修AIの解説)
大阪大学、情報通信研究機構(NICT)、浜松ホトニクスは2026年9月1日、数マイクロメートル間隔に並んだ中性原子10個から出る光子を、32チャンネルの集積光導波路アレイで同時に検出する「10多重量子光インターフェース」を発表した。多重度10は世界記録で、原理的には約100多重まで拡張できる。論文は8月31日に光学の学術誌Opticaに掲載された。
解説
量子コンピュータの中で、中性原子を1個ずつ光ピンセットで並べて量子ビットにする方式がある。1台に約1万個の原子を並べられ、有力な方式の一つになっている。ただし、誤りを自動で直しながら計算する「誤り耐性」を持たせるには100万個を超える量子ビットが必要で、1台では足りない。複数の装置を光でつなぐことになるが、そこがボトルネックになっている。
原子と光をつなぐには、原子が出す光子を1個ずつ光ファイバーに導く必要がある。これまでは原子1個に対して1本の光学系を用意する方法が中心で、原子の数だけ装置が増えた。
大阪大学、NICT、浜松ホトニクスのチームは、数マイクロメートル間隔で並んだ原子10個の光子を、32チャンネルの集積光導波路アレイで一度に受け取り、10並列で検出することに成功した。原子の並びと導波路の並びを合わせることで、装置を増やさずに多重化している。多重度10は世界記録で、設計上は約100多重まで広げられるという。
1万個の原子が入った装置を100万個規模に増やすには、装置同士を高速でつなぐ「量子光インターフェース」の多重度が効いてくる。今回の10は、その最初の一歩になる。
論文は2026年8月31日、米国光学会の学術誌Opticaに掲載された。