排出(じん臓と肝臓)
体の中で生まれた不要物はどう体外に排出されるのでしょうか。じん臓と肝臓のはたらきを見ていきます。
基本知識
じん臓 (kidney): 腰の上部に左右1対、握りこぶし大の臓器。血液をろ過して尿を作ります。
① 血液が糸球体(毛細血管の塊)でろ過され、原尿になる
② 尿細管でブドウ糖や水・塩分が再吸収される
③ 残った尿素・老廃物・余分な水分が尿としてぼうこうに貯められ排出される
肝臓 (liver): 体内最大の内臓(約1〜1.5kg)。多くの機能を持ちます:
① 解毒作用: アルコール・薬物を分解
② アンモニアを尿素に変換(タンパク質代謝で生じる有害なアンモニアを、毒性の低い尿素に)
③ 胆汁を作る(脂肪の消化を助ける)
④ 養分の貯蔵(ブドウ糖をグリコーゲンとして貯蔵)
⑤ 体温保持(代謝反応で熱を産む)
このように肝臓は「化学工場」「沈黙の臓器」と呼ばれます。
じん臓 (kidney)(血液をろ過して尿をつくる臓器。左右1対)
尿素 (urea)(タンパク質の代謝で生じる老廃物。肝臓でアンモニアから作る)
糸球体・ボーマンのう・尿細管(じん臓のろ過装置の各部分)
輸尿管・ぼうこう・尿道(尿の通路と貯蔵庫と出口)
肝臓 (liver)(解毒・尿素生成・胆汁分泌・栄養貯蔵を担う多機能臓器)
アンモニア (NH₃)(タンパク質分解で生じる有害物質。肝臓で尿素になる)
深掘り (背景・意義)
じん臓は1日に約180Lの血液をろ過しますが、そのほとんどは尿細管で再吸収され、最終的な尿は約1.5L程度です。99%以上を再吸収しているのは、水分や糖を捨てすぎないための高度な制御です。
もしじん臓が機能しなくなると腎不全となり、人工透析(機械で血液をろ過する治療)が必要になります。透析患者は週3回、1回4時間の治療を受けることが多く、生活に大きな影響を与えます。
肝臓は再生能力が非常に高く、半分以上を切除しても元の大きさに戻ります。一方、症状が出にくいため病気の発見が遅れがちで「沈黙の臓器」と呼ばれます。脂肪肝・肝炎・肝硬変・肝臓がんと進行する前に、健康診断で早期発見することが重要です。
排出経路の整理:
・尿素・余分な水分・塩分 → じん臓 → 尿
・CO₂ → 肺
・水・塩分 → 汗(皮膚)
これら複数の経路で体内の恒常性が保たれています。
- じん臓=血液をろ過し尿を作る
- 糸球体でろ過、尿細管で再吸収
- 肝臓の役割: 解毒・尿素生成・胆汁・貯蔵・体温
- アンモニア(有害)→肝臓→尿素(無害)
- 尿の経路: じん臓→輸尿管→ぼうこう→尿道
- 1日のろ過量180L、尿量1.5L
- 排出は肺・じん臓・皮膚から
注意点 (混同しやすい)
① アンモニア(有害・タンパク質代謝産物)を尿素(無害)に変えるのは肝臓であって、じん臓ではない。じん臓は尿素を尿として排出する場所。② 胆汁を作るのは肝臓、貯めるのは胆のう。場所が違う。③ 輸尿管(じん臓→ぼうこう)と尿道(ぼうこう→体外)を混同しない。④ 排出(老廃物を体外へ)と排泄(便を出すこと)は近いが厳密には別。生物学では「排出」を使う。
練習
- アンモニアを尿素に変える臓器を答えなさい。
- じん臓で血液中の不要物がろ過される構造を何と呼ぶか。
- 胆汁を作る臓器と貯蔵する臓器をそれぞれ答えなさい。