メンデルの遺伝の法則
19世紀、オーストリアの修道士メンデルがエンドウを使った実験から遺伝の規則を発見しました。これは遺伝学の出発点となる重要な法則です。
基本知識
メンデルが注目した形質: 種子の形(丸・しわ)、子葉の色(黄・緑)、花の色(紫・白)など7組の対照的な形質。
対立形質: 同じ形質で互いに対立する2つの性質(例: 丸 vs しわ)。
純系: 何代かけ合わせても同じ形質しか出ない個体(遺伝子型が同じ)。
遺伝子の表記: 大文字(A)=顕性(優性)、小文字(a)=潜性(劣性)。
例: エンドウの種子の形では丸(A)が顕性、しわ(a)が潜性。
3つの重要な法則:
① 顕性の法則: 純系どうしの子(雑種第一代 F₁)では、顕性形質だけが現れる。Aa→丸。
② 分離の法則: 減数分裂で対の遺伝子(Aa)が分かれて別々の生殖細胞に入る。これが孫の比を決める。
③ 独立の法則: 異なる形質の遺伝子は互いに独立して遺伝する(発展)。
孫(F₂)では顕性:潜性=3:1に分離する。
メンデル(遺伝の法則を発見したオーストリアの修道士。1865年発表)
対立形質(互いに対立する2つの形質。丸としわなど)
純系(同じ形質が代々受け継がれる個体。AA や aa)
顕性(優性)の形質(雑種第一代で現れる方の形質。記号は大文字 A)
潜性(劣性)の形質(雑種第一代で隠れる方の形質。記号は小文字 a)
分離の法則(減数分裂で対の遺伝子が分かれて生殖細胞に入る)
深掘り (背景・意義)
具体例: 丸い種子(AA) × しわのある種子(aa) の場合
① 親(P): AA × aa
② 子(F₁): すべてAa → 丸(顕性の法則)
③ F₁(Aa)どうしのかけ合わせで孫(F₂):
Aa × Aa の組み合わせ(掛け算表):
・AA: 1
・Aa: 2
・aa: 1
→ AA・Aa(丸):aa(しわ) = 3:1
これがメンデルが見出した3:1の比です。
染色体との対応: 遺伝子A・aは相同染色体の同じ場所に1個ずつあり、減数分裂でAとaが別々の生殖細胞に入るので、Aa個体は1/2の確率でA、1/2の確率でaを子に渡せる。これが分離の法則の正体。
歴史的意義: メンデルは1865年に論文を発表しましたが、当時はDNAも染色体もよく分かっておらず、長らく注目されませんでした。1900年に再発見されて遺伝学の出発点となります。彼の偉大さは、複雑な遺伝現象を「粒のような単位(遺伝子)」として整理し、数学的に記述したことです。
顕性・潜性は「強い・弱い」ではない: 顕性は「現れやすい」、潜性は「隠れやすい」だけ。aaの組み合わせになれば潜性形質が必ず現れます。
- メンデル=エンドウで遺伝の法則発見(1865)
- 顕性の法則=F₁では顕性形質だけが現れる(Aa→丸)
- 分離の法則=減数分裂で対の遺伝子が分かれる
- 独立の法則=異なる形質は独立して遺伝
- F₂で顕性:潜性=3:1の比に分離
- 純系AA × 純系aa → F₁すべてAa → F₂で3:1
- 遺伝子型 AA・Aa・aa の比は 1:2:1
- 顕性・潜性は「強弱」ではなく「現れ方」
注意点 (混同しやすい)
① 顕性(優性)=現れやすい、潜性(劣性)=現れにくい。「強い・弱い」「優れる・劣る」ではない(用語が誤解を生むため近年「顕性・潜性」に置換中)。② F₁(子)はすべて顕性形質、F₂(孫)で3:1。F₁とF₂を混同しないこと。③ 遺伝子型(AA・Aa・aa)と表現型(丸・しわ)を区別。AA と Aa は遺伝子型が違うが表現型は同じ「丸」。④ 分離の法則は減数分裂が物理的な根拠。
練習
- メンデルが遺伝の研究に使った植物は何か。
- 純系の丸(AA)としわ(aa)のエンドウをかけ合わせると、子の代(F₁)はどんな種子になるか。理由とともに答えなさい。
- F₁どうしをかけ合わせると、孫の代(F₂)で丸:しわの比はどうなるか。