等速直線運動と慣性
力がはたらかない物体(あるいは力がつりあっている物体)はどう動くのでしょう。物理で最も基本となる運動です。
基本知識
等速直線運動: 一定の速さで一直線上を進む運動。
道のりと時間の関係: s = vt ( s:道のり、v:速さ、t:時間 )
グラフは:
・横軸 時間、縦軸 速さ: 水平な直線(一定値)
・横軸 時間、縦軸 道のり: 原点を通る直線(比例)
慣性の法則(ニュートンの第1法則): 物体に力がはたらかないか、はたらく力がつりあっているとき、静止している物体は静止し続け、動いている物体は等速直線運動を続ける。
静止も等速直線運動も「力がはたらいていない状態」では同等の運動状態として扱われます。
等速直線運動(一定の速さで一直線上を進む運動)
慣性(物体が運動の状態を保ち続ける性質)
慣性の法則(ニュートン第1法則。力がなければ等速直線運動)
v-t グラフ(横軸時間・縦軸速さのグラフ。等速直線運動は水平線)
s-t グラフ(横軸時間・縦軸道のりのグラフ。等速直線運動は比例直線)
摩擦のない理想状態(学問的に重要な仮想条件)
深掘り (背景・意義)
慣性の法則はガリレオ・ガリレイが斜面の実験から見抜き、ニュートンが法則化しました。それまでアリストテレスは「動き続けるには力が必要」と考えていましたが、これは間違いでした。力は速さを保つためではなく、速さを変えるために必要──これがニュートン力学の核心です。
身近な慣性の例:
・バスが急発進: 体が後ろに残る(静止を保とうとする)
・バスが急停車: 体が前に倒れる(等速で進み続けようとする)
・テーブルクロス引き: 上の食器が静止を保つ性質を利用
・宇宙では推進力をオフにしても惑星間を慣性で進む
慣性は質量に比例します。重い物体ほど運動状態を変えにくい(慣性が大きい)。これは「動き出しにくい」「止まりにくい」両方を含みます。
v-tグラフでは、囲まれた面積が道のりを表します。これは等速直線運動だけでなくすべての運動で成り立つ便利な性質です。
- 等速直線運動: 速さ一定、一直線
- 道のり = 速さ × 時間 ( s = vt )
- v-tグラフは水平線、s-tグラフは比例直線
- 慣性の法則 = ニュートン第1法則
- 力がなければ等速直線運動を続ける
- 慣性は質量に比例(重いほど大きい)
- v-tグラフの面積 = 道のり
注意点 (混同しやすい)
① 「動くには力が必要」は間違い。「速さを変えるには力が必要」が正しい。② 等速直線運動は摩擦・空気抵抗を無視した理想状態。現実では速さは徐々に落ちる。③ 慣性は質量に比例。重いほど運動状態を変えにくい。④ v-tグラフの傾きは加速度、面積は道のり。グラフの読み取りは頻出。
練習
- 力がはたらかないときの物体の運動は何と呼ばれるか。
- 慣性の法則を提唱した科学者は誰か。
- 等速直線運動の道のりを求める公式を書きなさい。