高校基礎 / 生物の特徴と多様性 5 / 6

細胞の発見と顕微鏡 細胞研究の歴史

細胞の発見と顕微鏡 細胞研究の歴史

細胞の発見と研究の歴史をたどると、顕微鏡技術の進歩とともに生物学が発展してきたことがわかります。共通テストでも頻出のテーマです。

基本知識

細胞研究の歴史:
1665年 フック(Robert Hooke): 自作の顕微鏡でコルク片を観察し、小部屋状の構造を「cell(小室・小部屋)」と命名。これが「細胞」という言葉の起源(実際に見たのは死んだ細胞の細胞壁)。
1670年代 レーウェンフック(Leeuwenhoek): 高倍率の単式顕微鏡で池の水・血液・精子・微生物を観察。
1838年 シュライデン(Schleiden): 植物について「すべての植物は細胞からなる」と提唱。
1839年 シュワン(Schwann): 動物にも拡張して細胞説を確立。
1855年 フィルヒョー(Virchow): 「すべての細胞は細胞から生じる(Omnis cellula e cellula)」と述べ、細胞説を完成。
顕微鏡の種類:
光学顕微鏡: 可視光を使用。倍率最大1500倍、分解能約0.2 μm。生きた細胞も観察可。
電子顕微鏡: 電子線を使用。倍率は数十万倍、分解能約0.2 nm(ナノメートル)。細胞小器官の微細構造が見える。透過型(TEM)と走査型(SEM)がある。

📘 重要人物・装置
フック(1665年、cellを命名。コルクの観察)
レーウェンフック(高倍率顕微鏡で微生物を発見)
シュライデン・シュワン(細胞説の提唱。1838-39)
フィルヒョー(細胞は細胞から。1855)
光学顕微鏡(可視光・倍率最大1500倍・生細胞OK)
電子顕微鏡(電子線・倍率数十万倍・生細胞NG)
分解能(2点を別々に見分けられる最小距離)

深掘り

光学顕微鏡の分解能はおよそ可視光波長の半分(約0.2 μm)に制限されます。これは光の回折による物理限界で、これより小さな構造は光ではどうしても見えません。電子顕微鏡は電子の波長が可視光より遥かに短い(<0.005 nm)ため、はるかに高い分解能を実現します。ただし試料を真空中・薄切片にする必要があり、生きた細胞は観察できません。
近年は蛍光顕微鏡共焦点レーザー顕微鏡、超解像顕微鏡(STED・PALM/STORM)も発達し、ノーベル化学賞(2014年)の対象となりました。さらにクライオ電子顕微鏡(2017年ノーベル化学賞)は生体分子を凍結状態で観察でき、タンパク質の立体構造解析に革命を起こしました。これらの最新技術は、教科書の細胞構造の絵をどんどん精密にしています。
共通テストの定番として、観察対象のサイズ感を把握しておくこと: ヒト卵=120 μm、ヒト赤血球=8 μm、大腸菌=2 μm、ミトコンドリア=1〜2 μm、リボソーム=20 nm、インフルエンザウイルス=100 nm、DNA二重らせん径=2 nm、原子=0.1 nm。光学顕微鏡で見えるのは細菌〜細胞、それ以下は電子顕微鏡が必要です。

💡 ポイント
  • フック(1665)=cellの命名・コルクの死細胞観察
  • レーウェンフック=微生物の発見
  • シュライデン(植物)・シュワン(動物)=細胞説
  • フィルヒョー=細胞は細胞から
  • 光学顕微鏡=可視光・約0.2 μm分解能
  • 電子顕微鏡=電子線・約0.2 nm分解能
  • 細菌=μm、ウイルス・リボソーム=nm、原子=0.1 nm

注意点

フック(イギリス、1665年、cellの命名)とレーウェンフック(オランダ、微生物の発見)を混同しない。② 分解能倍率は別概念。倍率を上げても分解能以下は見えない。③ 電子顕微鏡では生きた細胞は観察できない(真空・固定が必要)。④ μm(マイクロメートル)と nm(ナノメートル)の単位: 1 μm = 1000 nm = 10-6 m。サイズ感を把握。

練習

  1. 「cell」という名称を初めて使った科学者は誰か。
  2. 「すべての細胞は細胞から生じる」と述べて細胞説を完成させた科学者は誰か。
  3. 光学顕微鏡の分解能はおよそ何 μmか。
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