高校基礎 / ヒトのからだの調節 1 / 6

体液と恒常性 内部環境を保つ仕組み

体液と恒常性 内部環境を保つ仕組み

多細胞動物の細胞は、体内の体液に浸って生きています。この内部環境を一定に保つ働き=恒常性(ホメオスタシス)は、生命維持の中核です。

基本知識

ヒトの体液は3つに分けられます:
血液: 血管内を流れる。体重の約8%。
組織液(間質液): 細胞のすき間を満たす。
リンパ液: リンパ管内を流れる。
血液の成分:
血漿(けっしょう)(55%): 液体成分。水・タンパク質・グルコース・電解質・老廃物を運ぶ。
赤血球(45%): ヘモグロビンを含み酸素を運ぶ。核なし。寿命約120日。
白血球: 免疫を担当(好中球・リンパ球など)。核あり。
血小板: 血液凝固を担当。核なし(細胞片)。
恒常性とは、外部環境が変化しても内部環境(体液の性質)を一定範囲に保つこと。温度・pH・浸透圧・血糖値・酸素濃度などが該当します。フランスのベルナールが「内部環境」概念を、アメリカのキャノンが「ホメオスタシス」を提唱しました。

📘 重要用語
体液(血液・組織液・リンパ液の総称)
血漿(血液の液体成分。物質運搬の場)
赤血球(ヘモグロビンを含み酸素を運ぶ。核なし)
白血球(免疫担当。核あり)
血小板(止血・血液凝固。核なし)
恒常性(ホメオスタシス)(内部環境を一定に保つ働き)
ヘモグロビン(赤血球内のタンパク質。鉄を含み酸素を結合)

深掘り

ヘモグロビンは化学的に美しい分子です。4つのサブユニット(α鎖2本+β鎖2本)からなり、各サブユニットの中央にヘム(ポルフィリン環+Fe2+)が埋め込まれています。鉄イオンが酸素分子と可逆的に結合することで、肺で酸素を取り込み、組織で放出します。
酸素結合は協同的に起こり、酸素解離曲線はS字型になります(ボーア効果)。CO2濃度が高くpHが下がる組織では、酸素を離しやすくなる(右へシフト)化学的合理性も備えています。一酸化炭素はヘムへの結合力が酸素の200倍以上強く、これが一酸化炭素中毒の原因です。
血液凝固のメカニズム: 血管が傷つくと、血小板が傷口に集まり、血液中のタンパク質フィブリノーゲンが活性化されて繊維状のフィブリンに変わり、赤血球などを絡めて血ぺい(けっぺい)を作って傷口をふさぎます。この反応にはCa2+イオンとビタミンKが必要で、これらが欠乏すると出血が止まらなくなります。化学物質ヘパリン(抗凝固剤)や納豆菌ナットウキナーゼなど、医薬と関連も深いテーマです。
恒常性の維持には負のフィードバックが基本原理として働きます。たとえば体温が上がると発汗で下げ、下がると震えで上げる。値が目標から離れるほど、それを戻す方向に強く作用します。化学反応の自動制御と同じ原理です。

💡 ポイント
  • 体液=血液・組織液・リンパ液
  • 血液=血漿+赤血球+白血球+血小板
  • 赤血球=ヘモグロビン・核なし
  • 白血球=免疫担当・核あり
  • 血小板=止血・核なし
  • 恒常性=ホメオスタシス(キャノン提唱)
  • 恒常性の基本原理=負のフィードバック

注意点

赤血球(核なし・酸素運搬)・白血球(核あり・免疫)・血小板(核なし・止血)を混同しない。② ヘモグロビン1分子は4個のヘムを持ち4個の酸素を結合する。③ 血漿(液体成分)と血清(血漿からフィブリノーゲンを除いたもの)は別。免疫学では血清が用いられる。④ 恒常性はホメオスタシス、英語ではhomeostasis。「同じ状態を保つ」という意味のギリシャ語。

練習

  1. 赤血球内で酸素を結合運搬するタンパク質を何というか。
  2. 「ホメオスタシス」という用語を提唱した科学者は誰か。
  3. 血液凝固で繊維状になり傷口をふさぐタンパク質を何というか。

このレッスンのQ&A

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