高校発展 / 物質の状態(気体・液体・固体) 5 / 6

実在気体と分子間力

実在気体と分子間力

理想気体は仮想的なモデルです。実在する気体は分子の体積分子間力を持ち、状態方程式からずれます。

基本知識

分子間力は次の3種類が代表的。
ファンデルワールス力(分散力): 瞬間的な電荷の偏りによる弱い引力。すべての分子に存在。
双極子-双極子相互作用: 極性分子間に働く。HCl, アセトンなど。
水素結合: F, O, N に直接結合した H が他の F, O, N と作る特に強い相互作用。H2O, NH3, HF, タンパク質, DNA で重要。
分子量が大きいほどファンデルワールス力は強くなり、沸点が上がります(同族のハロゲンの沸点比較で明確)。

📘 重要用語・公式
ファンデルワールス力(瞬間双極子による分散力)
水素結合(F/O/N-H...F/O/N の特に強い相互作用)
圧縮因子 Z(Z = PV/(nRT)。理想気体で Z=1)
ファンデルワールスの状態方程式((P+an2/V2)(V-nb)=nRT)
分極率(外電場による電子雲の歪みやすさ)
ロンドン分散力(無極性分子間の引力。分子量増で強化)

深掘り (原理・応用)

実在気体は高温・低圧で理想気体に近づきます。低温では分子間引力で実際の体積が予測より小さくなり Z<1、高圧では分子の固有体積が無視できず Z>1 になります。
水素結合は生命科学的に極めて重要で、DNA二重らせんの塩基対(A-T, G-C)、タンパク質の二次構造(αヘリックス, βシート)を保つ駆動力です。水の高い沸点・大きな比熱・氷の密度異常もすべて水素結合が原因で、生命の存在条件と密接に結びついています。

💡 ポイント
  • 理想気体 ⇒ 分子の大きさ・分子間力を無視
  • 実在気体は高温低圧で理想に近づく
  • 分子間力の強さ: 水素結合>双極子>分散力
  • 水素結合: F-H, O-H, N-H のみ
  • 同族の沸点は分子量とともに上昇(分散力↑)
  • 圧縮因子 Z=PV/nRT で実在気体を評価
  • 水の沸点が異常に高い ⇒ 水素結合

注意点 (混同しやすい・頻出ミス)

共有結合(分子内)と水素結合(分子間)を混同しない。水素結合は数十kJ/molで共有結合(数百kJ/mol)より弱い。② F, O, N 以外(Clなど)に結合したH は水素結合しない。③ 沸点比較で H2O > H2S, NH3 > PH3, HF > HCl が水素結合の証拠。④ ファンデルワールス力≒分散力+双極子相互作用、と広義に使う場合あり。

練習

  1. 水素結合を作る原子の組み合わせとして妥当なものを選べ: ① O-H...N ② C-H...O ③ S-H...O
  2. H2O と H2S で沸点が高いのはどちらか、理由とともに答えよ。
  3. 圧縮因子 Z = PV/(nRT) の値が1より大きい・小さいで何が分かるか説明せよ。
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このレッスンのQ&A

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