資源・エネルギーと持続可能な社会
化石燃料に依存した現代社会は、資源の枯渇と環境問題という二重の課題に直面しています。持続可能な社会のために化学が果たす役割を学びます。
基本知識
現在の主なエネルギー源は化石燃料(石炭・石油・天然ガス)で、燃焼で CO2 を排出します。化石燃料は有限で、可採年数はおよそ
・石油: 約50年、石炭: 約130年、天然ガス: 約55年(推定)
とされています。
再生可能エネルギーとして太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスがあり、CO2 排出が少ないクリーンエネルギーです。原子力は CO2 をほとんど排出しませんが放射性廃棄物の処理が課題です。
エネルギーの変換効率向上と節約=省エネ、廃棄物の再利用=リサイクル、も持続可能社会の鍵です。
化石燃料(石炭・石油・天然ガス。有限資源、燃焼で CO2 を排出)
再生可能エネルギー(太陽光・風力・水力・地熱・バイオマス。枯渇しない)
バイオマス(植物・動物由来の有機性資源。燃焼しても CO2 増加にならないカーボンニュートラル)
3R(Reduce=減らす, Reuse=再使用, Recycle=再生利用)
水素エネルギー(H2 を燃料とし、燃焼・燃料電池で利用。排出物は水のみ)
持続可能な開発目標(SDGs)(2015年採択の17の目標。エネルギー・環境・貧困など)
深掘り
水素社会は次世代のエネルギーシステムとして注目されています。再生可能エネルギーで水を電気分解して H2 を作り(グリーン水素)、燃料電池で電気に変換すれば CO2 を全く排出しません。トヨタの MIRAI などの燃料電池自動車(FCV)もその一例です。
一方、省エネ材料の分野では LED 照明(エネルギー効率が白熱球の 10 倍以上)、リチウムイオン電池(電気自動車・蓄電)、熱電変換材料(排熱を電気に)などが実用化されています。循環型社会の構築には、化学的な分解・再合成技術の進歩が不可欠です。
- 化石燃料=石炭・石油・天然ガス。燃焼でCO2排出
- 再生可能エネルギー=太陽光・風力・水力・地熱・バイオマス
- 水素エネルギー→燃料電池→排出物は水のみ
- 3R: Reduce・Reuse・Recycle
- バイオマスは燃焼しても炭素循環の中に収まる
- SDGs目標7: すべての人に安価・クリーンなエネルギーを
- グリーン水素=再エネで水を電気分解して製造
注意点
① 原子力は CO2 を排出しないが「再生可能エネルギー」ではない(ウラン燃料は有限)。② バイオマスは燃やすと CO2 が出るが、植物が成長時に吸収した CO2 を再放出するだけなのでカーボンニュートラルとみなされる。③ 3R の優先順位は Reduce(発生抑制)> Reuse(再使用)> Recycle(再資源化)。
練習
- 3R をすべて日本語で説明し、優先順位が高い順に並べなさい。
- 水素エネルギーが「クリーン」といわれる理由を化学的に説明しなさい。
- バイオマスがカーボンニュートラルとみなされる理由を説明しなさい。