高校発展 / 無機化学(典型元素) 4 / 6

窒素・リン(15族)と炭素・ケイ素(14族)

窒素・リン(15族)と炭素・ケイ素(14族)

窒素・リンは生命に不可欠、炭素・ケイ素は無機・有機の境界を担う重要元素です。それぞれ多様な酸化数と化合物を作ります。

基本知識

窒素 N2: 大気の78%、N≡N三重結合で非常に安定。工業的固定はハーバー・ボッシュ法 N2 + 3H2 ⇄ 2NH3 (Fe触媒、400-600℃、200-1000 atm)。アンモニア NH3はBronsted塩基・上方置換で捕集。硝酸 HNO3の工業製法はオストワルト法: NH3 → NO → NO2 → HNO3(白金触媒)。希硝酸はCu, Agを酸化的に溶かしNOを発生、濃硝酸はNO2を発生。Fe, Al, Niは不動態になります。
リン P: 同素体に黄リン(P4、自然発火、猛毒、水中保存)と赤リン(無毒、マッチ側薬)。十酸化四リンP4O10は強い乾燥剤・脱水剤。
炭素 C: 同素体多数(ダイヤモンド・黒鉛・フラーレン・カーボンナノチューブ・グラフェン)。ケイ素 Si: 地殻に2番目に多い元素、SiO2(石英・水晶)、ケイ酸塩鉱物として存在。半導体産業の基幹素材。

📘 重要用語・公式
ハーバー・ボッシュ法(NH3合成、Fe触媒、世界食料を支える)
オストワルト法(HNO3合成、白金触媒)
不動態(濃硝酸でFe, Al, Niに緻密酸化皮膜が形成し溶けなくなる)
王水(濃HCl:濃HNO3=3:1、Au, Ptも溶かす)
P4O10(強力な脱水剤、リン酸の無水物)
SiO2(共有結合結晶、ガラス・水晶・半導体基板)

深掘り (原理・応用)

ハーバー・ボッシュ法は20世紀最大の発明の一つ。空中窒素を肥料に変えることで世界の食料生産が数倍化し、現代の80億人を支えています。同時に窒素酸化物による富栄養化・地下水汚染も生じ、人類は窒素循環を大きく改変しました。
王水はAuも溶かす唯一の試薬: Au + 4HCl + HNO3 → HAuCl4 + NO + 2H2O。HNO3がAuを酸化し、Cl-が錯体[AuCl4]-を作って溶解平衡を進めます。
ケイ素はガラス(SiO2+Na2CO3+CaCO3)・セラミックス・ケイ酸塩鉱物・水ガラス(Na2SiO3)・シリカゲル(乾燥剤)・シリコーン樹脂・半導体グレードSi(99.9999999%超高純度)など、現代産業の基盤素材です。

💡 ポイント
  • ハーバー・ボッシュ法: N2+3H2→2NH3、Fe触媒、高温高圧
  • オストワルト法: NH3から3段階でHNO3
  • 希硝酸→NO発生、濃硝酸→NO2発生
  • Fe, Al, Niは濃硝酸で不動態
  • 王水(HCl:HNO3=3:1)はAu, Ptを溶かす
  • 黄リンは自然発火・猛毒、赤リンは安全
  • SiO2は共有結合結晶で高融点、HFで溶ける

注意点 (混同しやすい・頻出ミス)

希硝酸はNO濃硝酸はNO2発生(色を覚える: NOは無色、NO2は赤褐色)。② 不動態=Fe, Al, Ni(覚え方「鉄アルミニッケル」)。③ NH3の捕集は上方置換(空気より軽い、水によく溶ける)。④ 黄リンと赤リンは同素体だが性質が全く違う、保存方法も違う(黄リンは水中)。

練習

  1. ハーバー・ボッシュ法とオストワルト法の反応式と触媒をそれぞれ書け。
  2. 濃硝酸が銅を溶かす反応式を書け(発生する気体に注意)。
  3. 王水がAuを溶かす仕組みを、酸化と錯形成の両面から説明せよ。
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このレッスンのQ&A

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