高校基礎 / 物体の運動 1 / 6

速度と変位

速度と変位

物体がどのように動くかを記述するとき、最初に理解すべき概念が変位速度です。距離・速さとの違いに注意しながら学びましょう。

基本知識

変位 (displacement) は、始点から終点への向きを持つ移動量(ベクトル量)です。一方、距離 (distance) は実際に通った道のりのスカラー量です。たとえば100m先まで往復した場合、距離は200mですが変位は0mです。
速度 (velocity) は変位を時間で割ったベクトル量です:
速度 v = 変位 Δx ÷ 時間 Δt
一方、速さ (speed) は距離÷時間のスカラー量です。
平均速度 は一定区間の変位÷時間、瞬間速度 は限りなく短い時間での変位÷時間(x-tグラフの傾き)を指します。
SI単位では速度の単位は m/s。日常の km/h との換算は 1 m/s = 3.6 km/h

📘 重要用語
変位 (displacement)(始点から終点への有向線分。向きと大きさを持つベクトル)
速度 (velocity)(変位 ÷ 時間。向きを持つベクトル量)
速さ (speed)(距離 ÷ 時間。向きを持たないスカラー量)
平均速度(区間全体の変位 ÷ 時間)
瞬間速度(x-t グラフの接線の傾き)
スカラー・ベクトル(向きを持たない量 / 向きを持つ量)

深掘り (背景・意義)

物理学では「同じ数値でも意味が違う」ことが多々あります。「速さ 60 km/h」と「速度 60 km/h 東向き」は、情報量が違います。ベクトルとスカラーを区別することで、複雑な運動(斜方投射・円運動など)を正確に記述できます。
x-t グラフ(位置-時間グラフ)では、グラフの傾きが速度を表します。直線なら等速直線運動、曲線なら速度が変化していることを意味します。一点での接線の傾き = 瞬間速度です。
ガリレオ・ガリレイは17世紀に「速さ」を数値で表し、運動を数学で記述する方法を確立しました。これ以前は「重いものほど速く落ちる」というアリストテレスの誤った主張が支配していましたが、ガリレオの実験と数学的記述がそれを覆しました。

💡 ポイント
  • 変位=有向量(ベクトル)、距離=道のり(スカラー)
  • 速度=変位/時間(ベクトル)、速さ=距離/時間(スカラー)
  • x-t グラフの傾き=速度
  • 1 m/s = 3.6 km/h
  • 瞬間速度=x-t グラフの接線の傾き
  • 往復すると変位=0だが距離≠0
  • SI 単位: m/s

注意点 (混同しやすい)

変位(ベクトル)と距離(スカラー)は別物。逆向きに戻ると変位は小さくなるが距離は増え続ける。② 速度(ベクトル)と速さ(スカラー)を混用しない。問題文に「向きも含めて答えよ」とあれば速度を求める。③ 平均速度は変位÷時間であり、「始めの速度と終わりの速度の平均」と必ずしも一致しない(等加速度運動の場合は一致する)。

練習

  1. 東に 600m 進んで、西に 200m 戻った。変位と移動距離をそれぞれ答えなさい。
  2. 10 秒間で 80m 進んだ物体の平均速度(m/s)を求めなさい。
  3. 速度 90 km/h を m/s に換算しなさい。

このレッスンのQ&A

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