高校発展 / 生物の進化と系統 4 / 6

分子系統樹と分子時計

分子系統樹と分子時計

DNA・タンパク質のアミノ酸配列を比較して系統関係を推定する方法が分子系統解析です。分子時計の概念を使うと分岐年代も推定できます。

基本知識

分子系統解析の原理: 近縁な生物ほど相同なDNA配列やタンパク質のアミノ酸配列が似ている。配列の違いの大きさが分岐してからの時間に比例する。比較配列から系統樹(分子系統樹)を構築する。
分子時計: ある遺伝子のアミノ酸置換速度が一定ならば、2種間の配列差から分岐年代を推定できる。
木村資生の中立説: 大多数の分子レベルの変化は自然選択に対してほぼ中立であり、突然変異率に依存した一定速度で置換が起こる。これが分子時計の理論的基礎。
系統樹の読み方: 外群(アウトグループ)=比較基準の外側の生物。単系統群=共通祖先とその全子孫。多系統群=異なる系統を含む人為的な群。側系統群=共通祖先はもつが一部の子孫を除いた群。
rRNA(リボソームRNA)による系統解析: カール・ウーズが16S rRNA配列の比較から3ドメイン説を提唱(1977)。

例題
木村資生の中立説が分子時計の理論的根拠となる理由を説明しなさい。
解答: 中立説によると、分子レベルの大多数の変異は自然選択に対して中立であり、突然変異率によって一定のペースで集団に固定される。突然変異率が一定であれば、分岐後に蓄積する配列差も時間に比例するため、2種間の配列差から分岐後の経過時間(分岐年代)が推定できる。これが分子時計の原理である。
ポイント
  • 分子系統樹=DNA・タンパク質配列比較で系統推定
  • 分子時計=配列差が時間に比例→分岐年代の推定
  • 中立説=木村資生・分子変化の大多数は中立
  • 3ドメイン説=ウーズが16S rRNA比較で提唱(1977)
  • 単系統群=共通祖先+全子孫
  • 多系統群=異なる系統を含む人為的群
  • 外群=系統解析で比較基準に使う外側の生物

注意点

① 分子時計は万能ではない。遺伝子によって置換速度が異なるため複数遺伝子で検証する。② 爬虫類は従来の意味では側系統群(鳥類が除かれているため)。③ 中立説と自然選択説は対立ではない。分子レベルの変化の多くは中立だが、表現型に現れる変化には自然選択が強く働く。

練習

  1. 分子時計とは何か、「突然変異率」と「配列差」という語を用いて説明しなさい。
  2. 木村資生が提唱した中立説の内容を答えなさい。
  3. 3ドメイン説はどのような分子を比較して提唱されたか。また提唱したのは誰か。
🔒

このレッスンはログインが必要です

レッスン3以降を学習するにはアカウントが必要です。
無料で登録できます。

無料でアカウントを作る ログイン

このレッスンのQ&A

読み込み中...