津波の発生と伝播
津波は地震による海底変動で発生する巨大な波です。通常の風浪とは全く異なる性質をもちます。
基本知識
津波は、海底の地震・海底地滑り・海底火山噴火などで海底が急激に変位し、海水全体が押し上げられて発生する波です。風による波は海面付近だけが動くのに対し、津波は海底から海面まで海水全体が移動します。
津波の速度は水深に依存: V ≈ √(gd) (g: 重力加速度9.8 m/s², d: 水深)
・水深4000 mの外洋: V = √(9.8×4000) ≈ 198 m/s ≈ 約713 km/h(ジェット機並み)
・水深10 mの沿岸: V = √(9.8×10) ≈ 9.9 m/s ≈ 約36 km/h(人が走るより速い)
外洋では速いが波高が数十cm〜1m程度で気づきにくい。沿岸では速度が落ちて波高が増大(浅水変形)し、高い津波に変わります。
津波の波長は数十〜数百kmもあり、1波だけでなく数時間にわたって繰り返し来襲します(「引き波」が先に来ることもある)。最初の波が最大とは限りません。
津波(海底変動による海水全体の変位が伝わる波)
浅水変形(水深が浅くなるにつれて津波が遅くなり波高が増大する現象)
遡上高(陸地を駆け上がる津波の最大到達高さ)
津波警報・大津波警報(予想波高1m以上で警報、3m超で大津波警報)
引き波(津波到達前に海水が沖に引く現象。危険な前兆)
深掘り
2011年東北地方太平洋沖地震では最大遡上高約40.1 m(岩手県大船渡市綾里湾)が記録されました。波高がここまで増大したのは、リアス海岸の湾の地形が津波エネルギーを集中させたためです。
津波の早期警報には、海底に設置した水圧計(海底津波計)のデータがリアルタイムで活用されています。日本ではDense Oceanfloor Network for Earthquakes and Tsunamis (DONET)が紀伊半島沖〜四国沖に敷設されており、南海トラフ地震の早期検知に使われます。
歴史的には1960年チリ地震(M9.5)の津波が太平洋を渡り、約22時間後に日本にも到達して142人の犠牲者を出しました。これが遠地津波(遠隔地津波)の典型例です。
- 津波=海水全体が動く(風浪は海面のみ)
- 外洋で速く(約700 km/h)、浅瀬で遅くなり波高増大
- V ≈ √(gd) で速度は水深の平方根に比例
- 最初の波が最大とは限らない
- 引き波も危険な前兆
- 地震を感じたらすぐに高台へ避難
注意点
① 津波は「引き波が先」の場合もあるが、「押し波が先」の場合もある。引き波が来ても安心しない。② 外洋での波高が低くても沿岸では大きくなる(浅水変形)ので「小さい」と侮らない。③ 地震を感じなくても遠地津波は来るので、津波警報が出たら高台へ避難する。
練習
- 水深4000 mの外洋での津波の速さをおよそ答えなさい(km/h)。
- 津波が沿岸に近づくにつれて波高が増大する現象を何というか。
- 津波発生時に「引き波が来たから大丈夫」と判断してはいけない理由を説明しなさい。