銀河団と大規模構造
銀河は孤立しておらず、重力によってグループ・クラスターを形成し、宇宙最大スケールでは泡のような大規模構造を作っています。
基本知識
銀河の階層構造:
・銀河群(数〜数十個。局部銀河群が例)
・銀河団(数十〜数千個。直径数百万〜数千万光年。おとめ座銀河団など)
・超銀河団(数十個の銀河団を含む巨大構造。ラニアケア超銀河団、直径約5億光年)
宇宙の大規模構造では、銀河はフィラメント(糸状)やシート状に分布し、その間にはボイド(銀河がほとんどない空洞)があります。これを宇宙の泡構造(コズミックウェブ)と呼びます。
銀河団の質量の大部分(70〜90%)はダークマターで占められ、銀河間には高温の銀河団ガス(ICM)がX線を放射しています。
銀河団(数十〜数千個の銀河が重力で束縛された集団。ダークマター支配)
超銀河団(銀河団の集まり。直径数億光年。ラニアケア超銀河団が局所例)
フィラメント(銀河・銀河群が糸状に連なる大規模構造の骨格)
ボイド(銀河がほとんど存在しない空洞。直径数億光年のものもある)
宇宙の泡構造(フィラメント+シート+ボイドからなるコズミックウェブ)
銀河団ガス(ICM)(銀河間の超高温プラズマ。X線で輝く。銀河団質量の約15%)
深掘り (背景・意義)
銀河団でのダークマターの証拠は1930年代のツビッキーによる銀河団内の銀河運動速度の観測にさかのぼります。銀河団の見かけの質量(光度から推定)よりはるかに速い速度で銀河が運動しており、見えない質量が多量に存在するとされました(ビリアル定理の応用)。
重力レンズ(巨大質量が背景光を曲げる現象)の観測も、銀河団中のダークマター分布を可視化する強力な手段です。弾丸銀河団(2つの銀河団の衝突跡)では、X線放射の ICM(通常物質)とは別の位置にダークマターが集中しており、両者が独立して存在することの決定的証拠とされています。
宇宙の大規模構造はビッグバン直後の量子ゆらぎが宇宙膨張で引き伸ばされ、重力で成長したものです。CMBの温度ゆらぎのパターンから初期ゆらぎの種(シード)が直接観測できます。
- 階層:銀河群<銀河団<超銀河団
- ラニアケア超銀河団:局部銀河群含む・直径約5億光年
- 宇宙の泡構造:フィラメント+シート+ボイド
- 銀河団の大部分(70〜90%)はダークマター
- 銀河団ガス(ICM)はX線を放射
- 重力レンズでダークマター分布を可視化
- 弾丸銀河団はダークマター独立存在の決定的証拠
注意点 (混同しやすい)
① 銀河群(数十個未満)と銀河団(数十〜数千個)の規模の違い。② ボイドは完全な空洞ではなく、銀河が極端に少ない領域。③ 重力レンズは光が曲がる(ダークマター検出に使う)、レンズ銀河とは別の話。④ ICM(銀河団ガス)はX線で輝く(可視光ではない)。
練習
- 銀河団内の銀河間に存在する高温プラズマを何というか。
- 宇宙の大規模構造で銀河がほとんど存在しない空洞を何というか。
- 弾丸銀河団観測が何の存在の証拠とされているか答えなさい。