ハッブルの法則と宇宙の膨張
ハッブルの法則は「遠い銀河ほど速く遠ざかる」という観測的法則で、宇宙が膨張していることを示す直接的証拠です。これがビッグバン宇宙論の根拠となっています。
基本知識
1929年、エドウィン・ハッブルは多数の銀河のスペクトルを解析し、赤方偏移(光の波長が伸びて赤くなる現象)を発見しました。遠ざかる天体からの光はドップラー効果によって波長が伸びます。
ハッブルの法則: 銀河の後退速度 v は距離 d に比例する。
v = H₀ × d
H₀はハッブル定数(約70 km/s/Mpc)です。
この法則は「宇宙のどの場所から見ても、他の銀河は遠ざかっている」ことを意味し、宇宙全体が均一に膨張していることを示します。これは「銀河が銀河系から逃げ出している」のではなく、「空間自体が膨張している」ことを意味します。
ハッブル定数の逆数(1/H₀)はおおよそ宇宙の年齢を見積もる目安になります(約138億年)。
赤方偏移(遠ざかる天体の光の波長が伸びて赤側にずれる現象)
ドップラー効果(音源・光源と観測者の相対運動による波長変化)
ハッブルの法則(v=H₀×d。後退速度は距離に比例)
ハッブル定数(H₀)(約70 km/s/Mpc。宇宙膨張速度の指標)
宇宙の膨張(銀河が動くのではなく空間自体が膨張している)
ダークエネルギー(宇宙の膨張を加速させる未知のエネルギー。宇宙の約68%)
深掘り (背景・意義)
宇宙の膨張が加速していることは1998年にIa型超新星の観測から発見されました(パールムッター、シュミット、リースの3氏は2011年にノーベル物理学賞を受賞)。加速膨張を引き起こすエネルギー源としてダークエネルギー(暗黒エネルギー)が仮定されており、宇宙のエネルギー組成の約68%を占めると推定されています。
宇宙の膨張を時間をさかのぼって考えると、過去には宇宙が無限小の点に収縮していたことになります。これがビッグバンの概念です。
現在、ハッブル定数の値をめぐって「ハッブル張力(Hubble Tension)」と呼ばれる問題があります。宇宙マイクロ波背景放射から求めたH₀(約67 km/s/Mpc)と、セファイド変光星・超新星から求めた値(約73 km/s/Mpc)に統計的に有意な差があり、新しい物理の可能性を示唆しています。
- 赤方偏移=遠ざかる天体の光が赤側にずれる
- ハッブルの法則: v=H₀×d(後退速度∝距離)
- 宇宙膨張=空間自体が膨張している
- ハッブル定数≈70 km/s/Mpc
- 宇宙膨張は加速中(ダークエネルギーが原因)
- ダークエネルギー=宇宙の約68%
- ハッブルの法則→ビッグバン宇宙論の根拠
注意点 (混同しやすい)
① 赤方偏移は「遠ざかる」現象(波長が伸びる)。近づく場合は「青方偏移」(波長が縮む)。② 宇宙膨張は「銀河が動く」のではなく「空間が膨張する」。③ ハッブル定数は「定数」と呼ばれるが時間とともに変化する可能性がある。④ ダークマター(重力源・銀河回転)とダークエネルギー(加速膨張源)は別物。
練習
- 遠くの銀河ほどスペクトルがどちらにずれるか。またその現象の名称は何か。
- ハッブルの法則を式で表しなさい(文字の意味も示すこと)。
- 宇宙の膨張が加速していることが示された観測天体の種類を答えなさい。