高校発展 / 免疫と感染症の生物学 1 / 6

自然免疫 バリア・食作用・炎症

自然免疫 バリア・食作用・炎症

病原体が体内に侵入しようとするとき、最初に働くのが自然免疫です。自然免疫は生まれながらに備わった非特異的な防衛機構であり、皮膚・粘膜によるバリア、食作用、そして炎症反応の3段階で構成されます。特定の病原体を記憶することなく、素早く広範な防衛を行います。

基本知識

物理的・化学的バリア: 皮膚は角質層でできており、病原体の物理的な侵入を防ぐ最初の砦です。粘膜(気道・消化管・泌尿生殖器)は粘液繊毛運動で異物を排除します。唾液・涙・胃酸などにはリゾチームなどの抗菌物質が含まれます。

食作用(ファゴサイトーシス): バリアを突破した病原体はマクロファージ好中球樹状細胞などの食細胞によって取り込まれ、リソソームの酵素で分解されます。マクロファージはサイトカインを分泌して炎症を開始します。

炎症反応: 組織が損傷を受けると肥満細胞がヒスタミンを放出し、局所の血管が拡張・透過性が上昇します。好中球やマクロファージが血液から組織へ遊走し、病原体を排除します。炎症の4徴(発赤・熱感・腫脹・疼痛)はこのプロセスの表れです。

自然免疫の認識機構: パターン認識受容体(PRR)、特にToll様受容体(TLR)が病原体の共通構造(PAMPs: 病原体関連分子パターン)を認識します。LPS(グラム陰性菌の細胞壁成分)・ペプチドグリカン・ウイルスRNAなどがPAMPsの代表例です。

例題
自然免疫の「非特異性」とはどういう意味か。獲得免疫との対比で説明しなさい。
解答: 自然免疫の非特異性とは、特定の病原体を識別せず、PAMPs(病原体関連分子パターン)という病原体に共通する構造を認識して広範に反応することを指す。獲得免疫は特定の抗原を記憶して精密に反応するのに対し、自然免疫は初めて遭遇する病原体に対しても即座に(数時間以内に)応答できる点が特徴。
ポイント
  • 第1の防衛=皮膚・粘膜・リゾチームなどのバリア
  • 第2の防衛=マクロファージ・好中球・樹状細胞の食作用
  • 炎症4徴=発赤・熱感・腫脹・疼痛
  • ヒスタミン=肥満細胞から放出・血管拡張・透過性上昇
  • TLR=PAMPsを認識するパターン認識受容体
  • 樹状細胞=自然免疫と獲得免疫をつなぐ橋渡し役
  • 自然免疫は記憶しない・速い・非特異的

注意点

① 自然免疫は「記憶」しない点が獲得免疫との最大の違い。② 樹状細胞は食作用を行いながら抗原をT細胞に提示することで獲得免疫を活性化する架け橋的存在。③ 炎症は病的反応ではなく、組織修復に不可欠な生理的応答。

練習

  1. 自然免疫における物理的バリアの例を3つ挙げなさい。
  2. 食作用を行う代表的な細胞を3つ答えなさい。
  3. 炎症の4徴を列挙し、それぞれの原因となる生体反応を説明しなさい。

このレッスンのQ&A

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