メンデルの法則 優性・分離・独立
グレゴール・メンデルはエンドウ豆を使った交配実験から、遺伝の基本法則を発見しました。優性の法則・分離の法則・独立の法則はすべての遺伝学の出発点です。現代の分子生物学的知識と合わせて、これらの法則の意味と適用限界を理解しましょう。
基本知識
メンデルが成功した理由: ①純系(ホモ接合体)から実験開始 ②対立形質が明確な7形質を選択 ③多数の個体を統計的に分析 ④二因子交雑など系統的な実験計画。
優性の法則(顕性の法則): 純系の異なる形質の個体を交配するとF₁はすべて優性形質(顕性形質)を示す。両親がどちらも優性形質の場合でも、劣性形質を示す子が現れる現象を潜伏(潜性)という。優性・劣性は「強い・弱い」ではなく表現型として現れるかどうかの関係。
分離の法則: 1つの遺伝子座の2つの対立遺伝子(アリル)は、配偶子形成の際に分離して別々の配偶子に入る(減数分裂での相同染色体の分離に基づく)。F₁×F₁(自家受粉)→F₂で優性:劣性=3:1。
独立の法則: 異なる染色体上の遺伝子は配偶子形成の際に独立して分配される。二因子雑種F₁×F₁→F₂で9:3:3:1の比。独立の法則は連鎖していない遺伝子間でのみ成立する点に注意。
例題
エンドウで黄色(Y)が緑色(y)に対して優性、丸形(R)がしわ形(r)に対して優性のとき、F₁(YyRr)を自家受粉させたF₂の表現型の比を求めなさい。
解答: 独立の法則より各遺伝子を独立に考える。黄色:緑色=3:1、丸:しわ=3:1。組み合わせると黄丸:黄しわ:緑丸:緑しわ=9:3:3:1。確認: 9/16が黄丸、3/16が黄しわ、3/16が緑丸、1/16が緑しわ。
エンドウで黄色(Y)が緑色(y)に対して優性、丸形(R)がしわ形(r)に対して優性のとき、F₁(YyRr)を自家受粉させたF₂の表現型の比を求めなさい。
解答: 独立の法則より各遺伝子を独立に考える。黄色:緑色=3:1、丸:しわ=3:1。組み合わせると黄丸:黄しわ:緑丸:緑しわ=9:3:3:1。確認: 9/16が黄丸、3/16が黄しわ、3/16が緑丸、1/16が緑しわ。
ポイント
- 優性(顕性)=ヘテロ接合体で表れる形質・強弱ではない
- 分離の法則=減数分裂で対立アリルが別々の配偶子へ
- F₂の比=1因子: 3:1 / 2因子: 9:3:3:1
- 独立の法則=異なる染色体の遺伝子は独立に分配
- ホモ接合体(AA・aa) / ヘテロ接合体(Aa)
- メンデルのエンドウ豆=純系・明確な対立形質・統計分析
- 独立の法則は連鎖していない遺伝子でのみ成立
注意点
① 優性・劣性(顕性・潜性)は形質の「価値」や「強さ」を意味しない。② 3:1の比はF₁同士の交配(F₁×F₁)で生じ、純系同士では生じない。③ 9:3:3:1の比は2対の遺伝子が独立(非連鎖)の場合にのみ成立する。
練習
- メンデルの分離の法則を、減数分裂の過程と結びつけて説明しなさい。
- AaBbの個体を自家受粉したとき、aabb(劣性ホモ)の割合を求めなさい。
- 独立の法則が成立するための条件は何か。