性決定の仕組みと性染色体
多くの生物では性は染色体によって決定されます。ヒトのXY性決定を中心に、さまざまな性決定機構と伴性遺伝のパターンを学びましょう。性染色体連鎖遺伝子は男女で異なる頻度で形質が現れるため、遺伝問題でも頻出です。
基本知識
ヒトのXY型性決定: ヒトの体細胞には46本(23対)の染色体があり、そのうち1対が性染色体。女性=XX、男性=XY。Y染色体にあるSRY遺伝子が精巣の分化を誘導し、精巣から分泌されるテストステロンが男性の二次性徴を引き起こす。
その他の性決定様式: ZW型(鳥類・一部の爬虫類)=ZZ→雄、ZW→雌。X0型(バッタなど)=XX→雌、X0→雄(Y染色体なし)。性転換(環境で性が決まる: クマノミ・カメの孵化温度)。植物の性決定は多様。
伴性遺伝: X染色体上の遺伝子の遺伝。男性はX染色体を1本しかもたない(ヘミ接合)ため、X連鎖劣性形質が表現型に現れやすい。例: 赤緑色覚異常(男性8%、女性0.5%)・血友病(X連鎖劣性)。
X連鎖劣性の保因者母から息子: 50%が罹患。X連鎖劣性の罹患父から娘: 全員が保因者。
X染色体の不活化(バー小体): 女性の体細胞では2本のX染色体のうち1本がランダムに不活化(ライオン化)され、バー小体として核内に観察される。女性はXのモザイク=三毛猫の毛色パターンの根拠。
例題
赤緑色覚異常(X連鎖劣性)の保因者女性(Xᴬxᵃ)と正常男性(Xᴬ Y)の間に生まれる子の遺伝子型と表現型の割合を求めなさい。
解答: 母の配偶子: Xᴬ または xᵃ (各1/2)。父の配偶子: Xᴬ または Y (各1/2)。組み合わせ: XᴬXᴬ(正常女性 1/4), Xᴬxᵃ(保因者女性 1/4), XᴬY(正常男性 1/4), xᵃY(色覚異常男性 1/4)。罹患するのは男性の半数。女性は全員正常(保因者含む)。
赤緑色覚異常(X連鎖劣性)の保因者女性(Xᴬxᵃ)と正常男性(Xᴬ Y)の間に生まれる子の遺伝子型と表現型の割合を求めなさい。
解答: 母の配偶子: Xᴬ または xᵃ (各1/2)。父の配偶子: Xᴬ または Y (各1/2)。組み合わせ: XᴬXᴬ(正常女性 1/4), Xᴬxᵃ(保因者女性 1/4), XᴬY(正常男性 1/4), xᵃY(色覚異常男性 1/4)。罹患するのは男性の半数。女性は全員正常(保因者含む)。
ポイント
- ヒト=XY型(XX女性・XY男性)・SRY遺伝子が精巣を誘導
- ZW型=鳥類(ZZ雄・ZW雌)
- X0型=バッタなど(XX雌・X0雄)
- 伴性遺伝=X連鎖遺伝子・男性はヘミ接合
- X連鎖劣性=男性に多く現れる(赤緑色覚異常・血友病)
- バー小体=不活化したX染色体・女性の体細胞に1個
- 三毛猫=X染色体ランダム不活化(ライオン化)のモザイク
注意点
① X連鎖劣性の罹患父は息子には病気を伝えない(Y染色体を渡すため)。② 女性がX連鎖劣性を罹患するには2本のX染色体に劣性アリルが必要(XX)。③ バー小体の数=X染色体の数-1(正常男性=0個、正常女性=1個)。
練習
- XY型性決定においてSRY遺伝子が果たす役割を説明しなさい。
- 血友病(X連鎖劣性)の保因者女性が血友病の男性と結婚したとき、娘・息子それぞれの罹患確率を求めなさい。
- バー小体とは何か、その数と性染色体の関係を答えなさい。