高校 / 持続可能な社会の形成 5 / 6

持続可能な社会の担い手として

持続可能な社会の担い手として

環境・経済・社会の課題が複雑に絡み合う現代において、一人ひとりが主体的に考え行動することが求められます。SDGsや世代間倫理の視点から、私たちに何ができるかを考えましょう。

基本知識

持続可能な発展(SD:Sustainable Development)とは、「将来世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、現在世代のニーズを満たす発展」(ブルントラント委員会、1987年)のことです。環境・経済・社会の三つの側面のバランスを保ちながら発展することが求められます。
世代間倫理は、現在世代が自分たちの利益のために将来世代の選択肢を奪ってはならないという考え方です。地球資源の過剰利用・財政赤字の積み上げ・気候変動の放置はいずれも世代間倫理に照らして問題があります。
社会的課題の解決にあたっては、異なる立場・価値観を持つ関係者(ステークホルダー)が対話を通じて解決策を模索する合意形成のプロセスが重要です。熟議民主主義は、市民が熟考・議論を通じて公共的決定に参加する考え方です。
SDGsの達成には政府・企業だけでなく、市民・NGO・学校・個人も担い手として期待されています。主体的な社会参画として、選挙・ボランティア・NPO活動・消費行動(エシカル消費)・情報発信などが挙げられます。

📘 重要用語
持続可能な発展(SD)(将来世代のニーズを損なわず現在世代のニーズを満たす発展。1987年ブルントラント委員会定義)
世代間倫理(現在世代と将来世代の間の公平性を求める倫理原則)
合意形成(ステークホルダーが対話を通じて共通の解決策を導くプロセス)
エシカル消費(環境・社会・人権に配慮した倫理的な消費行動)
熟議民主主義(市民が十分な情報と議論に基づいて公共的決定に参加する民主主義の形態)
SDGs(2015年採択。17目標・169ターゲット・2030年期限の持続可能な開発目標)

深掘り (背景・意義)

1992年のリオ宣言は「持続可能な発展」を国際的合意として確立し、2000年のMDGs(ミレニアム開発目標)・2015年のSDGsへと発展しました。SDGsがMDGsと異なる点は、①先進国も対象(普遍性)、②政府だけでなく企業・市民社会も主体(包摂性)、③経済・社会・環境を統合した目標(統合性)にあります。
合意形成においては、多数決で少数派を排除するのではなく、対話を通じて全員が納得できる解を探ることが重要とされます(コンセンサス方式)。現実の政策決定では、科学的知見に基づきながら価値判断を伴う選択が必要になります。これを「科学と政治の接点」として扱う際、専門知と市民の判断をどう接続するかが重要な課題です。若い世代が主体的に社会に参画することは、民主主義の活性化と持続可能な社会の実現の両方に不可欠です。

💡 ポイント
  • 持続可能な発展の定義:将来世代のニーズを損なわず現在世代のニーズを満たすこと
  • SDGsの三特徴:普遍性(先進国も対象)・包摂性(全主体が担い手)・統合性(三側面の統合)
  • 世代間倫理:将来世代の選択肢を奪わないことが現在世代の責任
  • エシカル消費:環境・人権・社会に配慮した消費行動も社会参画の一形態
  • 合意形成:多数決のみに依存せず対話・熟議を重視する
  • SDGsの達成期限:2030年。17目標・169ターゲット

注意点 (混同しやすい)

持続可能な発展は「経済成長を止める」ではなく「環境・社会・経済のバランスを保ちながら発展する」という概念。② MDGs(2000〜2015年。主に途上国の課題)とSDGs(2015〜2030年。全世界の課題)の違いを区別する。③ 世代間倫理は現在世代を犠牲にする概念ではなく、「現在と将来の双方のニーズを満たす」均衡を求める。④ 合意形成は全員の意見が一致することではなく、対話を尽くして共通解を見つけるプロセスである。

練習

  1. 「持続可能な発展」の定義を述べ、経済・社会・環境の三つの側面のバランスが必要な理由を説明しなさい。
  2. 世代間倫理の観点から、現在の私たちが将来世代に対して負っている責任を具体的に述べなさい。
  3. SDGsの達成に向けて、あなた自身が日常生活で取り組めることを二つ挙げ、その理由を説明しなさい。
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