情報I / コミュニケーションと情報デザイン 3 / 6

ユニバーサルデザインとアクセシビリティ

ユニバーサルデザインとアクセシビリティ

情報を「分かりやすく」するだけでなく、「誰にとっても使える」ようにすることも情報デザインの重要な役割です。年齢・障害・言語の違いを超えて使えるデザインとはどのようなものか。ユニバーサルデザインの考え方と、情報分野での実践を学びます。

ユニバーサルデザインとは

ユニバーサルデザイン(UD)とは、年齢・性別・障害の有無・言語などにかかわらず、できるだけ多くの人が最初から使えるように設計するという考え方です。アメリカの建築家ロナルド・メイスが提唱しました。よく似た言葉にバリアフリーがありますが、バリアフリーが「既にある障壁(バリア)を後から取り除く」発想であるのに対し、ユニバーサルデザインは「はじめから障壁を作らない」発想である点が異なります。

ユニバーサルデザインの7原則

メイスらは、UDの指針として7つの原則を示しました。①公平な利用(誰でも同じように使える)、②利用における柔軟性(使い方を選べる。左利きでも使えるはさみ等)、③単純で直感的な利用(説明を読まなくても使い方が分かる)、④認知できる情報(必要な情報が感覚を問わず伝わる。音と光の両方で知らせる等)、⑤失敗に対する寛大さ(誤操作しても危険や損害につながりにくい。「元に戻す」機能等)、⑥少ない身体的負担(弱い力でも自然な姿勢でも使える)、⑦接近や利用のためのサイズと空間(体格や姿勢を問わず届き、操作できる)。

📘 例 シャンプーの容器の側面には小さな突起(きざみ)が付いていて、リンスと触って区別できます。目を閉じて髪を洗っている人にも、視覚障害のある人にも同じように役立つ、日本発のユニバーサルデザインの有名な例です。ほかにも、絵と多言語で表記された駅の案内、押しても引いても開くドア、音響信号付き横断歩道などが身近なUDです。

情報のユニバーサルデザイン — アクセシビリティ

Webやアプリの世界では、誰もが情報にアクセスできる度合いをアクセシビリティと呼びます。具体的な配慮には次のようなものがあります。画像に代替テキスト(alt属性)を付け、画面読み上げソフト(スクリーンリーダー)でも内容が分かるようにする。文字と背景に十分なコントラストを確保する。動画に字幕を付ける。キーボードだけでも操作できるようにする。また、日本人男性の約20人に1人は特定の色の組み合わせ(赤と緑など)を区別しにくいとされており、色だけに頼らず、形やラベルでも情報を伝えるカラーユニバーサルデザインが重要です。国際的にはWCAG(Webコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン)という指針が定められています。あわせて、誰にとっての「使いやすさ・分かりやすさ」を追求する概念をユーザビリティと呼び、アクセシビリティ(使える人の広さ)と区別されます。

💡 ポイント
  • UD=はじめから誰でも使える設計。バリアフリー=後から障壁を除去。発想の違いを押さえる。
  • UD7原則:公平・柔軟・単純直感・認知できる情報・失敗への寛大さ・少ない身体的負担・サイズと空間。
  • アクセシビリティの実践:代替テキスト・コントラスト・字幕・キーボード操作。
  • 色覚の多様性に配慮し、色だけで情報を伝えない(カラーユニバーサルデザイン)。
  • アクセシビリティ=「使える人の広さ」、ユーザビリティ=「使いやすさの質」。

練習問題

  1. ユニバーサルデザインとバリアフリーの違いを、発想の違いに着目して説明しなさい。
  2. ユニバーサルデザインの7原則のうち「失敗に対する寛大さ」とは何か、ソフトウェアでの具体例を挙げて説明しなさい。
  3. Webページで「赤い文字は必須項目です」という表記だけで必須項目を示すことの問題点を指摘し、改善案を示しなさい。
  4. 画像の「代替テキスト」は誰のどのような利用を助けるか説明しなさい。

解答・解説

  1. 解答:バリアフリーは、既に存在する障壁(段差など)を障害のある人などのために後から取り除く発想。ユニバーサルデザインは、障壁がそもそも生まれないように、最初から年齢・障害の有無などを問わず誰でも使えるように設計する発想。対象を限定した「事後の対策」か、すべての人に向けた「事前の設計」かが違い。
    解説:「後から除去 vs はじめから設計」の対比が書けていれば正解。UDは障害者専用ではなく「みんなのため」という点も重要。
  2. 解答:誤操作をしても危険や重大な損害につながりにくいように設計すること。例:文書作成ソフトの「元に戻す(Undo)」機能、ファイル削除時の「本当に削除しますか?」という確認ダイアログ、ごみ箱からの復元機能。
    解説:人間は必ずミスをする前提で、ミスを取り返せる設計にするという原則。具体例が1つ挙がっていれば十分。
  3. 解答:問題点:色(赤)だけで情報を伝えているため、赤を区別しにくい色覚の人や白黒印刷では必須項目が判別できない。改善案:色に加えて「※必須」「必須」というラベルやアスタリスク記号を併記する、太字にするなど、色以外の手がかりでも分かるようにする。
    解説:カラーユニバーサルデザインの基本「色だけに頼らない」。色+形・ラベルの二重化が定石。
  4. 解答:視覚に障害があり画面読み上げソフト(スクリーンリーダー)を使う人が、画像の内容を音声で理解できるようにする。また、通信障害などで画像が表示されない場合や、検索エンジンが画像の内容を理解する助けにもなる。
    解説:主目的はスクリーンリーダー利用者への配慮。画像非表示時・検索エンジンへの効果は加点要素。
🔒

続きは無料アカウントで読めます

このレッスンの続きと、AIに教えて学ぶ機能が使えます。登録は無料です。

無料でアカウントを作る ログイン

このレッスンのQ&A

読み込み中...