高校基礎 / 物質と化学結合 3 / 6

分子の極性と分子間力

分子の極性と分子間力

分子全体としての電子の偏り(極性)は、結合の極性と分子ので決まります。さらに分子どうしには分子間力が働きます。

基本知識

結合の極性: 電気陰性度の差がある2原子間の結合では、電子が引き寄せられる側がδ-、もう一方がδ+になります。
分子の極性: 結合の極性分子の形(対称性)の両方を考慮します。
・対称な分子(CO2直線、CH4正四面体): 無極性分子(極性が打ち消し合う)
・非対称な分子(H2O折れ線、NH3三角錐): 極性分子
分子間力は分子と分子の間に働く弱い力で、3種類があります:
ファンデルワールス力: すべての分子に働く弱い引力(無極性分子でも瞬間的な電子の偏りで生じる)。分子量が大きいほど大きい。
双極子-双極子相互作用: 極性分子どうしのδ+とδ-が引き合う。
水素結合: F、O、N に直接結合した H が、他分子の F、O、N の非共有電子対と引き合う特別に強い分子間力。H2O、HF、NH3で発生。

📘 重要用語
極性分子(電子の偏りで全体に正負の偏りがある分子。H2O、HCl)
無極性分子(対称形で極性が打ち消し合う分子。CO2、CH4、N2
分子間力(分子間に働く弱い引力の総称)
ファンデルワールス力(全ての分子に働く弱い力。分子量大で強くなる)
水素結合(F,O,Nと結合したHが他原子と引き合う強い分子間力)
分子結晶(分子が分子間力で並んだ結晶。氷、ヨウ素、ドライアイス)

深掘り (背景・意義)

水の異常性はすべて水素結合で説明できます。
・水の沸点が100℃と異常に高い(同族のH2S、H2Se、H2Teは下に行くほど沸点が上がるはずなのに、水だけ突出して高い)。
氷の方が水より密度が小さい(氷の正四面体的水素結合ネットワークが隙間を作る)。これがあるから氷が水に浮き、池の魚は冬を生き延びられます。
比熱が大きい(温まりにくく冷めにくい)。地球の気候を穏やかにする原因。
表面張力が大きい(水滴が丸くなる、アメンボが水面に乗れる)。
DNAの二重らせんを保つのも、塩基間の水素結合です(A=T、G≡C)。タンパク質の立体構造も水素結合で安定化されており、分子間力は生命科学の中核概念でもあります。
分子結晶(氷、ヨウ素、ドライアイス)は分子間力という弱い力で結ばれているので、融点・沸点が低く、軟らかく、昇華しやすいのが特徴です。

💡 ポイント
  • 分子の極性=結合の極性+形(対称性)
  • CO2無極性(対称)、H2O極性(折れ線)
  • 分子間力=ファンデルワールス力+双極子+水素結合
  • 水素結合: F-H, O-H, N-H で発生
  • 水の沸点・氷の密度・比熱はすべて水素結合の影響
  • DNA二重らせんも水素結合(A-T、G-C)
  • 分子結晶は融点低・軟らかい・昇華しやすい

注意点 (混同しやすい)

結合の極性(原子間)と分子の極性(全体)は別。② 分子量が同程度でも、水素結合がある分子の方が沸点が高い(H2O > H2Sなど)。③ 水素結合は分子間力の一種であり共有結合ではない。エネルギーは共有結合の約1/10。④ 分子結晶イオン結晶共有結合の結晶(後述)は別概念。

練習

  1. CO2は無極性分子なのにCO2中のC=O結合は極性がある。理由を述べなさい。
  2. 水の沸点が同族のH2Sより異常に高い理由を、分子間力の用語を使って説明しなさい。
  3. 分子間力のうち、F-H、O-H、N-Hで特に強く働くものを何というか。
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このレッスンのQ&A

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