放射線とその利用
放射線は怖いイメージがありますが、自然界に普通に存在し、医療や工業で広く利用されています。正しく理解しましょう。
基本知識
放射線: 高いエネルギーを持つ粒子や電磁波の総称。
主な種類:
① α(アルファ)線: ヘリウム原子核。透過力弱(紙でも止まる)、電離作用大。
② β(ベータ)線: 電子。透過力中(アルミ薄板で止まる)。
③ γ(ガンマ)線: 電磁波。透過力強(鉛・厚いコンクリで弱まる)。
④ X線: γ線と同じ電磁波だが発生方法が違う。レントゲンに使う。
⑤ 中性子線: 中性子の流れ。透過力最強級。
放射線(光線のような流れ)と放射能(放射線を出す能力)、放射性物質(放射線を出す物質)は別概念。
線量の単位:
・ベクレル (Bq): 放射能の強さ(1秒間に崩壊する原子核数)
・シーベルト (Sv): 人体への影響の大きさ
放射線(高エネルギーの粒子・電磁波。α・β・γ・X・中性子線)
放射能(放射線を出す能力。性質・量の意味)
放射性物質(放射線を出す物質。ウラン・セシウム・カリウムなど)
半減期(放射性物質の量が半分に減るまでの時間)
ベクレル (Bq)(放射能の単位。1秒あたりの崩壊数)
シーベルト (Sv)(人体への影響の単位)
深掘り (背景・意義)
放射線は自然界に普通に存在します。宇宙線、地殻のウラン・カリウム、空気中のラドンなど。日本人が自然に浴びる量は年間約2.1 mSvです。
放射線の利用:
・医療: レントゲン・CT(X線)、PET検査、がん放射線治療
・工業: 非破壊検査(配管の溶接欠陥)、厚さ計、滅菌
・農業: 害虫駆除(放射線で不妊化)、品種改良
・考古学: 放射性炭素(C14)年代測定
・発電: 原子力発電(ウラン235の核分裂)
放射線のリスク: 大量被ばくでDNA損傷・細胞死・がん。安全管理が重要です。
半減期: 放射性物質の量が半分に減るのにかかる時間。
・ヨウ素131: 約8日
・セシウム137: 約30年
・炭素14: 約5730年
・ウラン238: 約45億年
福島第一原発事故では特にセシウム137の対策が長期課題となっています。
- 放射線: α・β・γ・X・中性子線
- 透過力: α<β<γ・X<中性子
- 放射線・放射能・放射性物質は別概念
- Bq = 放射能の強さ、Sv = 人体影響
- 自然放射線 年間約2.1 mSv (日本平均)
- 応用: 医療診断・がん治療・年代測定・滅菌
- 半減期: ヨウ素131約8日、セシウム137約30年
注意点 (混同しやすい)
① 放射線(線)と放射能(能力)と放射性物質(物質)を厳密に区別。「放射能漏れ」は俗用だが、正確には放射性物質漏れ。② α線は紙、β線はアルミ、γ線は鉛・コンクリで遮蔽。③ Bqは物質の活性、Svは人体影響と単位が違う。④ 放射線は自然界にも存在し、すべてが人工とは限らない。バナナにも微量含まれる。
練習
- α・β・γ線のうち、透過力が最も強いのはどれか。
- 放射能の単位を答えなさい。
- セシウム137の半減期は約何年か。