高校発展 / 有機化学・IUPAC命名法と構造決定 5 / 6

IUPAC命名法・応用と立体表記

IUPAC命名法・応用と立体表記

前レッスンの基本を踏まえ、複雑な官能基を含む化合物、環式、立体化学の表記など、入試・実務で要求される応用ルールを身に付けます。

基本知識

複数官能基がある場合の優先順位: -COOH > -COOR(エステル) > -CONR2(アミド) > -CN > -CHO > -CO-(ケトン) > -OH > -NH2 > -OR(エーテル) > C=C > C≡C > -X(ハロゲン) > -R(アルキル)。最高優先のものを主官能基(語尾)として、他は接頭辞として命名。
接頭辞の例: -OH=ヒドロキシ hydroxy, -CHO=ホルミル/オキソ formyl/oxo, -CO-=オキソ oxo, -NH2=アミノ amino, -OR=アルコキシ alkoxy, -COOH=カルボキシ carboxy(主鎖外のとき)。
環式の命名: ベンゼン環+置換基。例: C6H5-CH3 = メチルベンゼン(慣用名トルエン)、C6H5-OH = ヒドロキシベンゼン(慣用名フェノール)。
二置換ベンゼン: 1,2-(オルト-, o-)、1,3-(メタ-, m-)、1,4-(パラ-, p-)。
立体表記(R/S)のCIP則(Cahn-Ingold-Prelog則):
① 不斉炭素の4つの結合相手の原子番号を比較し優先順位(a>b>c>d)を決める
② 同じ原子なら次の原子で比較、二重結合は重複と数える
③ 最低優先(d)を奥に置き、a→b→cが時計回り=R、反時計回り=S

📘 立体表記
CIP則(Cahn-Ingold-Prelog則、原子番号比較)
R体/S体(時計回りR、反時計回りS、最低優先を奥に)
E/Z表記(高優先基が同じ側=Z、反対=E)
D/L表記(フィッシャー投影で最高位置炭素の決定、糖・アミノ酸の慣用)
(+)/(-)(旋光符号、+=右旋性、-=左旋性、実測値から)
rac-(ラセミ体、等量混合)

深掘り (原理・応用)

例題: (2R)-2-ヒドロキシプロパン酸 = D-(-)-乳酸 = 筋肉乳酸。CIPでC2の優先順位: -COOH(O,O,O)>-OH(O,H,H)>-CH3(H,H,H)>-H。Hを奥に置き、COOH→OH→CH3が時計回りならR。
糖のD/L表記(フィッシャー投影): カルボニル(CHOやCO)を上に書いた縦型構造で、最も下のキラル中心(糖では最高位置の炭素直下)の-OHが右ならD、左ならL。D-グルコースの全炭素配置は(2R,3S,4R,5R)。
アミノ酸のD/L: アミノ酸はカルボキシ基を上、α炭素のNH2が左ならL、右ならD。天然タンパク質アミノ酸は原則L体(グリシン除く)。
これら表記は薬学・生化学では必須で、医薬品の有効成分は片方の鏡像体のみ承認される場合がほとんど。

💡 ポイント
  • 官能基の優先順位を必ず確認(-COOH最優先)
  • 主官能基は語尾、他は接頭辞
  • 二置換ベンゼン=オルト/メタ/パラ(1,2/1,3/1,4)
  • R/S=CIP則(原子番号)→時計回り/反時計回り
  • E/Z=二重結合まわりの優先基配置
  • D/L=糖・アミノ酸の慣用、フィッシャー投影
  • 天然アミノ酸はL、天然糖はD

注意点 (混同しやすい・頻出ミス)

R/SとD/Lは独立: L-アラニンはS体だが、L-システインはR体(置換基の優先順位の都合)。② (+)/(-)とR/Sも独立: D-乳酸はR体だが(-)旋光、L-乳酸はS体で(+)旋光(物質ごとに違う、実測値)。③ 位置番号は官能基最優先: アルコールとアルケンが両方あれば-OH優先で番号付け→「ペンタ-4-エン-2-オール」など。④ 環式と鎖式の母体選択: 環の方が炭素数で大なら環式が母体。

練習

  1. 下の構造のIUPAC名を答えよ: HOOC-CH(OH)-CH2-CH3(立体表記不要)。
  2. p-クレゾール(p-methylphenol)の構造式を描け。
  3. (S)-アラニンの構造式をフィッシャー投影法で書き、R/SとD/Lを併記せよ。
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このレッスンのQ&A

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