高校発展 / 熱力学 4 / 6

熱機関と効率・カルノーサイクル

熱機関と効率・カルノーサイクル

熱エネルギーを仕事に変換する装置が熱機関です。理論上最大の効率を与えるカルノーサイクルを詳しく学びます。

基本知識

熱機関は高温熱源から熱量 QH を吸収し、仕事 W を出力し、低温熱源に QC を放熱するサイクルです。
熱効率: η = W / QH = 1 − QC/QH(0 ≤ η < 1)

カルノーサイクルは 4 段階の準静的過程からなる可逆サイクルです:
等温膨張(高温 TH で QH 吸収)
断熱膨張(TH → TC,Q = 0)
等温圧縮(低温 TC で QC 放出)
断熱圧縮(TC → TH,Q = 0)

カルノー効率(最大効率): ηC = 1 − TC/TH(T は絶対温度 [K])
同じ 2 温度間で動く任意の可逆機関の効率はカルノー効率に等しく、不可逆機関は必ずそれより低い。

📘 重要用語
熱効率 η(η = W/QH = 1 − QC/QH
カルノーサイクル(等温膨張→断熱膨張→等温圧縮→断熱圧縮の 4 過程)
カルノー効率 ηC(ηC = 1 − TC/TH。任意の可逆機関の最大効率)
高温熱源・低温熱源(TH:熱を供給する側,TC:廃熱を受け取る側)
冷凍機・ヒートポンプ(逆カルノーサイクル: 仕事を使って低温→高温へ熱を移動)

深掘り (背景・意義)

カルノー効率は温度差が大きいほど高くなります。火力発電所で蒸気温度を高温にする理由はここにあります。現実のエンジンは摩擦・熱伝導など不可逆要素のためカルノー効率より低くなります(ガソリンエンジン ~25–35%,最新火力発電 ~40–50%)。
冷凍機の効率は成績係数 (COP) ε = QC / W(冷却量 / 消費仕事)で表します。ヒートポンプの COP は ε' = QH / W = ε + 1。エアコンの COP は 3〜6 程度もあり、電気ヒーターより「効率よく」温める。
カルノー効率の式 ηC = 1 − TC/TH は絶対温度の熱力学的定義にも使えます(ケルビンの定義)。

💡 ポイント
  • η = W/QH = 1 − QC/QH(η < 1 は第2法則の帰結)
  • カルノー効率 ηC = 1 − TC/TH(絶対温度で計算)
  • カルノーサイクル4過程: 等温膨張→断熱膨張→等温圧縮→断熱圧縮
  • 不可逆機関の効率 < カルノー効率
  • 冷凍機は逆カルノーサイクル。COP = QC/W

注意点 (混同しやすい)

① カルノー効率の公式は絶対温度 T [K] を使う。℃のまま代入するのは誤り。② 効率 η = 1 は不可能(第2法則)。TC = 0 K は実現不可能なため。③ 熱機関と冷凍機は QC,QH,W の流れが逆方向。④ W = QH − QC(エネルギー保存)から η = 1 − QC/QH が導ける。

練習

  1. 高温熱源 TH = 600 K、低温熱源 TC = 300 K でのカルノー効率を求めよ。
  2. 熱機関が 1000 J の熱を高温源から受け取り 600 J を低温源に放出した。熱効率を求めよ。
  3. カルノーサイクルの 4 過程を順に述べ、pV 図上での形状を説明しなさい。
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このレッスンのQ&A

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