高校発展 / 熱力学 5 / 6

気体分子運動論と状態方程式

気体分子運動論と状態方程式

気体の巨視的性質(圧力・温度・体積)を分子の微視的運動から導く気体分子運動論は、熱力学の微視的基礎です。

基本知識

理想気体の状態方程式: pV = nRT(p: 圧力 [Pa],V: 体積 [m³],n: 物質量 [mol],R = 8.314 J/(mol·K),T: 絶対温度 [K])
または pV = NkT(N: 分子数,k = 1.38×10⁻²³ J/K: ボルツマン定数)

気体分子運動論の結果:
・圧力: p = (1/3)(N/V)mv̄²(m: 分子質量,v̄²: 平均二乗速度)
・分子の平均運動エネルギー: (1/2)mv̄² = (3/2)kT
・単原子理想気体の内部エネルギー: U = (3/2)NkT = (3/2)nRT

ボイル-シャルルの法則: pV/T = 一定(物質量一定)
ボイルの法則(等温): pV = 一定,シャルルの法則(定圧): V/T = 一定

📘 重要用語
理想気体(分子間力なし・分子体積なし・弾性衝突のみの仮想気体)
状態方程式 pV = nRT(n, R, T から圧力・体積を結びつける基本式)
気体定数 R = 8.314 J/(mol·K)
ボルツマン定数 k = R/NA(NA: アボガドロ定数)
二乗平均速度 v̄rms(v̄rms = √(3kT/m)。温度の平方根に比例)

深掘り (背景・意義)

分子運動論から温度の本質が明らかになります: 絶対温度は分子の平均運動エネルギーに比例。0 K では分子運動が止まる(古典的に)というのが絶対零度の意味です。量子論的には 0 K でもゼロ点振動がありますが、高校物理では古典扱いで十分。
実在気体は分子間力や分子体積があるため状態方程式が補正されます(ファン・デル・ワールス方程式)。高圧・低温ほど理想気体からのずれが大きくなります。
マクスウェル-ボルツマン速度分布: 気体分子の速さは一定ではなく分布を持ち、温度が高いほど分布は高速側にブロードになります。

💡 ポイント
  • pV = nRT。T は必ず絶対温度 [K]
  • 分子の平均運動エネルギー = (3/2)kT
  • U = (3/2)nRT(単原子理想気体)→ T にのみ依存
  • ボイル: pV = 一定(等温)、シャルル: V/T = 一定(定圧)
  • 二乗平均速度 v̄rms ∝ √T

注意点 (混同しやすい)

① pV = nRT の T は必ず絶対温度 K。② 分子の運動エネルギーは (1/2)mv² = (3/2)kT で速度の「二乗平均」を使う。③ ボイルは等温・シャルルは定圧。「定積」は p/T = 一定(ゲイ-リュサックの法則)。④ n(モル数)と N(分子数)の混用注意。R = k×NA

練習

  1. 27 ℃、1.0×10⁵ Pa で 2.0 mol の理想気体の体積を求めよ(R = 8.3 J/(mol·K))。
  2. 温度が 4 倍になると気体分子の二乗平均速度は何倍になるか。
  3. 300 K の単原子理想気体 3.0 mol の内部エネルギーを求めよ(R = 8.3 J/(mol·K))。
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このレッスンのQ&A

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