ハーディ・ワインベルグの法則と集団遺伝学
集団全体の遺伝子頻度の変化を研究するのが集団遺伝学です。ハーディ・ワインベルグの法則(H-W則)は進化が起こらない理想的な集団の基準を与えます。
基本知識
ハーディ・ワインベルグの法則(H-W則): 以下5条件を満たす理想集団では遺伝子頻度は世代を超えて変化しない。①十分に大きい集団②ランダム交配③突然変異なし④自然選択なし⑤移入・移出なし。
H-Wの計算式: アリル A の頻度=p、アリル a の頻度=q とすると (p + q = 1)、遺伝子型頻度: AA = p²、Aa = 2pq、aa = q²、p² + 2pq + q² = 1。
遺伝子頻度を変化させる要因(進化の原動力): ①突然変異(新しいアリルを生み出す)②遺伝的浮動(小集団での偶然によるアリル頻度変動・ボトルネック効果・創始者効果)③自然選択(適応度差がアリル頻度を変化させる)④遺伝子流動(個体の移動)。
例題
ある集団で遺伝子型 aa の頻度が 0.09 だった。H-W平衡を仮定して、アリル A と a の頻度、および遺伝子型 AA と Aa の頻度を求めなさい。
解答: q² = 0.09 なので q = 0.3。p = 1 - 0.3 = 0.7。AA = p² = 0.49、Aa = 2pq = 2 × 0.7 × 0.3 = 0.42。確認: 0.49 + 0.42 + 0.09 = 1.00。
ある集団で遺伝子型 aa の頻度が 0.09 だった。H-W平衡を仮定して、アリル A と a の頻度、および遺伝子型 AA と Aa の頻度を求めなさい。
解答: q² = 0.09 なので q = 0.3。p = 1 - 0.3 = 0.7。AA = p² = 0.49、Aa = 2pq = 2 × 0.7 × 0.3 = 0.42。確認: 0.49 + 0.42 + 0.09 = 1.00。
ポイント
- H-W法則=理想集団では遺伝子頻度が変化しない
- H-W公式: AA=p²、Aa=2pq、aa=q²
- p+q=1、p²+2pq+q²=1
- 突然変異=新アリルの源
- 遺伝的浮動=小集団での偶然的なアリル頻度変動
- ボトルネック・創始者効果=遺伝的浮動の典型例
- 自然選択=適応度差がアリル頻度を変化させる
注意点
① H-W法則は「進化していない」状態の法則。実際の集団はH-W平衡からずれており、そのずれが進化の証拠になる。② 遺伝的浮動は大集団では影響小・小集団では影響大。③ ボトルネック効果(集団サイズが一時的に激減)と創始者効果(少数の個体が新天地を開拓)は遺伝的多様性を低下させる。
練習
- ハーディ・ワインベルグ平衡が成立するための5つの条件を答えなさい。
- アリル頻度 p = 0.6、q = 0.4 のとき、H-W平衡での遺伝子型頻度 AA・Aa・aa をそれぞれ求めなさい。
- 小集団で偶然によりアリル頻度が変動する現象を何というか。