高校発展 / 動物の発生 5 / 6

両生類の発生と細胞の全能性

両生類の発生と細胞の全能性

カエル(両生類)の発生は発生生物学のモデル生物として詳細に研究されています。細胞の全能性核移植実験の古典も含めて整理します。

基本知識

カエルの発生順序:
受精卵 → 2細胞期 → 4細胞期 → 8細胞期 → 桑実胚 → 胞胚(胞胚腔は動物極側) → 原腸胚(原口=植物極側に形成、陥入が起こる) → 神経胚(神経板→神経管形成) → 尾芽胚オタマジャクシ幼生変態 → カエル(成体)

灰色三日月環: カエルの受精時、精子侵入側の反対側に灰色三日月環(グレーイクレセント)が形成される。これが将来の背側を決定する。灰色三日月環側の割球が背側になり、形成体が形成される。

細胞の全能性と核移植: ジョン・ガードン(1962年)はカエルの腸細胞の核を除核した卵母細胞に移植し、正常なオタマジャクシを得た。これは分化した体細胞の核も全能性(すべての細胞への分化能)を失っていないことを示した。この発見がiPS細胞開発の理論的背景となり、2012年ノーベル生理学・医学賞(山中伸弥と共同受賞)につながった。

例題: ガードンの核移植実験とヤマナカのiPS細胞実験には共通する重要な発見がある。その共通点を「全能性」「リプログラミング」の語を用いて説明しなさい。また、両実験の技術的アプローチの違いを述べなさい。

解答: 共通点は「分化した体細胞であっても核(ゲノム)の全能性は保持されており、適切な条件下でリプログラミング(初期化)することで多能性を回復できる」という発見。技術的違いは、ガードンは分化細胞の核を卵母細胞の細胞質環境に置くことで初期化したのに対し、山中は転写因子(Oct3/4・Sox2・Klf4・c-Myc)をウイルスベクターで体細胞に導入することで試験管内でリプログラミングを達成した。
ポイント
  • カエル発生=受精卵→胞胚(胞胚腔:動物極側)→原腸胚→神経胚→オタマジャクシ
  • 灰色三日月環=精子侵入反対側に形成・背側を決定
  • ガードン(1962)=腸細胞核移植で正常発生→全能性の証明
  • 全能性=分化した体細胞核も全ゲノム情報を保持
  • ガードン+山中=2012年ノーベル生理学・医学賞
  • 変態=オタマジャクシ→カエル(甲状腺ホルモン主導)

練習

  1. カエルの発生で灰色三日月環が形成される理由と、その発生上の意義を説明しなさい。
  2. ガードンの核移植実験が「細胞の全能性」を証明した理由を述べなさい。
  3. カエルの変態を促進するホルモンを答え、その分泌調節を説明しなさい。
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このレッスンのQ&A

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