高校発展 / 銀河と宇宙論 5 / 6

ビッグバン・CMB・インフレーションとダークエネルギー

ビッグバン・CMB・インフレーションとダークエネルギー

現代宇宙論の標準ビッグバン理論とそれを支える観測証拠、さらに未解明のダークマター・ダークエネルギー・インフレーションを概観します。

基本知識

宇宙は約138億年前、超高温・超高密度の状態(ビッグバン)から始まったと考えられています。主要な時系列:
・10⁻³⁶〜10⁻³² 秒:インフレーション(指数関数的膨張。宇宙が10²⁶倍に拡大)
・10⁻⁶ 秒:陽子・中性子が形成(クォーク閉じ込め)
・3分:ビッグバン元素合成(H・He・Li の原子核が形成。He は宇宙の質量の約25%)
・38万年:宇宙の晴れ上がり(電子と陽子が結合し水素原子形成・光が自由に伝播)
・現在(138億年):観測可能な宇宙の半径 約465億光年
「晴れ上がり」時の光が冷えて現在は約2.7Kの電磁波(宇宙マイクロ波背景放射 CMB)として全天から観測されます。CMBの温度の微小なゆらぎ(10⁻⁵の差)が現在の大規模構造の種です。

📘 重要用語
インフレーション(ビッグバン直後の指数関数的膨張。地平線問題・平坦性問題を解決)
ビッグバン元素合成(初期3分でH・He・Li核が形成。Heは質量比約25%)
晴れ上がり(38万年後に光が自由に伝播できるようになった転換点)
宇宙マイクロ波背景放射(CMB)(晴れ上がり時の光の名残。現在約2.7K)
ダークマター(重力的に観測されるが光を出さない物質。宇宙の約27%)
ダークエネルギー(宇宙膨張を加速させる未知のエネルギー。宇宙の約68%)

深掘り (背景・意義)

インフレーション理論(1981年 佐藤勝彦・アラン・グース独立提唱)は、地平線問題(遠い方向のCMBが同じ温度→因果関係がないはずなのになぜ均一?)と平坦性問題(宇宙の曲率がなぜほぼゼロ?)を解決します。インフレーション中の量子ゆらぎが引き伸ばされて宇宙の構造の種(原始密度ゆらぎ)になりました。
ダークマターの候補:WIMP(弱い相互作用をする重い粒子)、アクシオン、不活性ニュートリノなどが検討されていますが2025年現在まだ直接検出されていません。
ダークエネルギーは宇宙定数 Λ(アインシュタインが一度撤回した定数)として定式化されます。宇宙の95%が未知の成分というのは現代物理の最大の謎の一つです。

💡 ポイント
  • 宇宙の始まり:約138億年前・ビッグバン
  • インフレーション:10⁻³⁶〜10⁻³² 秒・指数関数的膨張
  • ビッグバン元素合成(3分):He質量比約25%
  • 晴れ上がり(38万年後)→CMBが自由に伝播
  • CMB:現在2.7K・全天から観測
  • 宇宙組成:通常物質5%・DM27%・DE68%
  • ΛCDMが宇宙論の標準モデル

注意点 (混同しやすい)

インフレーション(10⁻³⁶s)とビッグバン元素合成(3分)と晴れ上がり(38万年)の時系列順を正確に。② CMBは「ビッグバンの光」ではなく「晴れ上がり時の光の名残」(ビッグバン直後の光は宇宙が不透明だったため届かない)。③ ダークマター(重力・引力)とダークエネルギー(加速膨張・斥力的効果)を混同しない。④ 観測可能な宇宙の半径 465億光年 ≠ 宇宙年齢×光速(宇宙膨張のため)。

練習

  1. CMBの現在の温度はおよそ何Kか。
  2. インフレーション理論が解決しようとした問題を1つ挙げなさい。
  3. ΛCDMモデルにおける宇宙の組成(通常物質・ダークマター・ダークエネルギーの割合)を答えなさい。
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このレッスンのQ&A

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