高校発展 / DNA・遺伝情報の発現 5 / 6

突然変異と分子進化

突然変異と分子進化

DNAの塩基配列の変化である突然変異は進化の原材料です。分子レベルの変化がどのように生じ、どのように種の進化につながるかを理解しましょう。

基本知識

突然変異の分類: ①点突然変異(塩基置換): 1塩基の変化。同義置換(アミノ酸変わらず・縮重コードのため)と非同義置換(アミノ酸変化)。②フレームシフト突然変異: 1〜2塩基の挿入・欠失でコドンの読み枠がずれ、以降のアミノ酸配列が大きく変化。③染色体突然変異: 欠失・重複・逆位・転座など大規模な染色体構造変化。④ゲノム突然変異: 倍数化・異数性(染色体数の増減)。
突然変異の原因: ①自発的突然変異=DNA複製エラー・化学的な塩基変化(脱アミノ化・脱プリン化)。②誘発突然変異=紫外線(チミンダイマー形成)・化学的変異原(アルキル化剤)・放射線。
DNA修復: ①ミスマッチ修復(複製エラー修正)②塩基除去修復(変異塩基を除去・置換)③ヌクレオチド除去修復(UVダメージ等の大きな損傷修復)④SOS応答(大腸菌の緊急応答)。
分子進化と中立説: 木村資生(1968)の中立説: 分子レベルの突然変異の大部分は自然選択に対して中立→遺伝的浮動によって一定速度で集団に固定→分子時計として利用。非同義置換速度 < 同義置換速度 (自然選択が表現型に作用するため)。

例題
フレームシフト突然変異が同じ塩基数の置換より有害になりやすい理由を説明しなさい。
解答: 遺伝暗号は3塩基1組(コドン)で読まれるため、1〜2塩基の挿入・欠失は変異点以降のすべてのコドンの読み枠をずらす。その結果、変異点から終止コドンまでの全アミノ酸配列が変わり、多くの場合タンパク質の機能が完全に失われる。一方、塩基置換は通常1アミノ酸の変化にとどまる(または縮重で変化なし)ため影響が限定的。
ポイント
  • 塩基置換=点突然変異・同義/非同義置換
  • フレームシフト=読み枠ずれ・以降全アミノ酸変化
  • UV=チミンダイマー形成→ヌクレオチド除去修復
  • DNA複製エラー=ミスマッチ修復で修正
  • 中立説(木村)=分子変化の大部分は中立・一定速度で固定
  • 分子時計=配列差が時間に比例→分岐年代推定
  • 同義置換速度 > 非同義置換速度(選択圧の差)

注意点

① 突然変異は「有害・中立・有利」のどれかであり、環境によって変わりうる。② チミンダイマーはUV(紫外線)による代表的な損傷。皮膚がんのリスクと関係する。③ 同義置換が多い理由は、アミノ酸変化が生じないため自然選択の圧力がかからないから。非同義置換は有害なものが多く選択で除去される。

練習

  1. フレームシフト突然変異とは何か。1塩基挿入の例を使って説明しなさい。
  2. 紫外線照射によって引き起こされるDNA損傷の種類と、それを修復する経路を答えなさい。
  3. 同義置換速度が非同義置換速度より高い理由を、自然選択の観点から説明しなさい。
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このレッスンのQ&A

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