打製石器と狩猟採集生活
旧石器時代の人々は、石を打ち欠いて作った道具を使い、移動しながら狩猟と採集で暮らしていました。彼らの生活の実態を見ていきましょう。
基本知識
旧石器時代の最大の特徴は打製石器の使用です。打製石器とは、石(黒曜石・サヌカイト・チャートなど)を別の石で打ち欠き、鋭い刃をつけて作った道具のこと。後の縄文時代の「磨製石器」と区別されます。
代表的な打製石器には、握斧(にぎりおの)・ナイフ形石器・尖頭器(せんとうき)・細石器(さいせっき)などがあります。これらは槍の穂先や狩猟用ナイフ、肉を切る道具として使われました。
人々は獲物を追って移動生活をし、洞窟やテント状の簡易な住居で短期間暮らしていました。火の使用も知っており、調理や防寒、猛獣からの防御に役立てていました。
握斧(ハンドアックス) 手で握って使う斧状の石器、解体・加工用
ナイフ形石器 鋭い刃を持つ薄い石器、肉切りに使用
尖頭器 槍の穂先となる尖った石器、狩猟の主力
細石器 旧石器時代末期の小型石器、木や骨の柄にはめて使用
黒曜石 鋭利な刃が作れる火山岩、長野県・北海道などが産地
深掘り (背景・影響)
旧石器時代の人々は、ナウマンゾウ・オオツノジカ・ヘラジカなどの大型動物を集団で狩り、植物の根・木の実・果実を採集して食料としていました。土器がまだ作られていなかったため、食料は焼く・干すなどの方法で調理されました。
狩りは槍を使った待ち伏せや、崖に追い込む「追い込み猟」が行われたと考えられています。男性が主に狩猟、女性が採集を担当する分業も始まっていた可能性があります。
黒曜石は遠く離れた地域でも発見されており、すでに集団間で「交易」のような物資の移動が始まっていたことを示しています。たとえば長野県和田峠産の黒曜石が関東各地で発見されています。
- 打製石器 = 石を打ち欠いて作る(旧石器時代の特徴)
- 磨製石器 = 石を磨いて作る(新石器・縄文時代以降)
- 主な石器: 握斧・ナイフ形石器・尖頭器・細石器
- 黒曜石・サヌカイトが石器の主要素材
- 狩猟採集生活 + 移動生活が基本
- 火の使用は確認されているが、土器はまだない
- 黒曜石の移動から原始的な交易の存在が示唆される
注意点 (混同しやすい)
① 「打製石器」と「磨製石器」を絶対に混同しない。旧石器=打製、縄文以降=打製+磨製。② 旧石器時代には土器がない。土器の出現は縄文時代から。③ 移動生活が基本で、定住はしていない(縄文時代になって定住開始)。④ 「弓矢」も旧石器時代末期から使われ始めたが、本格普及は縄文時代。⑤ 細石器は旧石器時代末期の小型化した石器で、木の柄に複数はめ込んで使う高度な技術。
練習
- 打製石器と磨製石器の違いを説明せよ。
- 旧石器時代の主な食料獲得方法を2つ答えよ。
- 長野県などで産出した、石器素材として重要な火山岩は何か。