日本 / 室町時代 4 / 6

産業の発達と惣村

産業の発達と惣村

室町時代は政治こそ混乱していましたが、農業・手工業・商業が大きく発達した時代です。村落では惣村が成立し、農民が自治の力を高めました。

基本知識

農業では、二毛作(米と麦)が西日本中心に普及。さらに東日本にも広がりました。肥料は下肥(しもごえ)(人糞尿)、刈敷(草を刈って敷く)、草木灰などが使われ、生産性が向上。新しい品種として大唐米(だいとうまい)(早稲・多収)も導入されました。
手工業では、座(ざ)(同業組合)が発達。神社や貴族・寺院に保護料を払う代わりに、独占営業権を得ました。大山崎の油座(石清水八幡宮の保護)、京都の絹座などが有名。
商業では、定期市が六斎市(ろくさいいち)(月6回)へと頻度が上がりました。明銭(永楽通宝)が広く流通し、為替(遠隔地への送金)も発達。馬借(ばしゃく)・車借(しゃしゃく)などの運送業者、問丸(といまる)(港の倉庫業・運送業)、土倉(どそう)・酒屋(高利貸し)が活躍しました。
惣村(そうそん)は自治的な村落で、惣・惣中とも呼ばれます。村人が寄合を開き、掟(村法)を定め、地下検断(じげけんだん)(村独自の裁判)、地下請(じげうけ)(年貢を村単位で請け負う)を行いました。指導者は乙名(おとな)・沙汰人(さたにん)。村の鎮守の宮座(みやざ)が結束の核となりました。

📘 室町時代の産業
農業 二毛作の普及、下肥・刈敷・草木灰の使用
手工業 座の発達、大山崎の油座など
商業 六斎市(月6回)、明銭(永楽通宝)の流通
運送 馬借・車借・問丸
金融 土倉・酒屋(高利貸し)、為替の発達

深掘り (背景・影響)

惣村は、ただの村ではなく自治政府のような機能を持ちました。村ごとに(例:奈良県の今堀日吉神社文書に残る「今堀地下掟」)を定め、違反者は村人自身が処罰しました。これが地下検断です。
惣村が結束すると、土一揆へと発展します。1428年の正長の土一揆、1441年の嘉吉の徳政一揆、1485年の山城国一揆(国人と農民が連合し、畠山氏を追放して8年間自治)、1488年の加賀の一向一揆(浄土真宗本願寺派が守護富樫氏を倒し、約100年間「百姓ノ持タル国」を実現)など、各地で大規模な一揆が起こりました。
これらは単なる暴動ではなく、民衆の自治意識の発露であり、後の日本の自治の伝統の源流となっています。

💡 ポイント
  • 二毛作=米と麦、室町時代に東日本にも広がる
  • 座=同業組合、大山崎の油座が有名
  • 六斎市=月6回の定期市、商業の発達
  • 明銭=永楽通宝、日本国内で広く流通
  • 馬借・車借=陸上運送、問丸=港の倉庫業
  • 土倉・酒屋=高利貸し、後の土一揆の標的
  • 惣村=自治村落、寄合・掟・地下検断・地下請
  • 1485年=山城国一揆、1488年=加賀の一向一揆

注意点 (混同しやすい)

土一揆(農民の徳政要求)、国一揆(国人=地侍が中心、山城国一揆など)、一向一揆(浄土真宗本願寺派、加賀の一向一揆)の3種類を区別。
(室町時代の同業組合)と、後に織田信長が出す楽市・楽座(座の特権を廃止)はセットで覚える。
馬借(馬で運ぶ)、車借(牛車で運ぶ)、問丸(港の倉庫業)を混同しない。馬借は正長の土一揆の発端にもなった。
土倉(質屋)と酒屋(酒造業者・金融も兼業)はともに高利貸し。土一揆の襲撃対象。

練習

  1. 農民が結成した自治的な村落の呼び名を答えよ。
  2. 1488年に守護富樫氏を倒し、約100年間自治を実現した一揆の名前を答えよ。
  3. 室町時代に広く流通した、中国・明の銅銭の名前を答えよ。
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このレッスンのQ&A

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