化学が支える現代社会
スマートフォン、医薬品、衣類、食料、エネルギー──私たちの暮らしは化学の成果であふれています。化学を学ぶことは現代社会を読み解く鍵です。
基本知識
化学とは、物質の組成・構造・性質と、それらの変化(化学反応)を扱う学問です。20世紀以降、化学は爆発的に発展し、生活に欠かせない数多くの化学製品を生み出してきました。
例として、ハーバー・ボッシュ法による窒素肥料の大量生産は世界の食糧供給を支え、合成染料や合成繊維は衣料を一変させ、合成樹脂(プラスチック)は包装・建材・電子機器に広く使われています。医薬品や半導体の発展も化学合成・無機材料技術の成果です。一方で環境問題や資源の枯渇といった負の側面も生じており、現代の化学は「持続可能性」を意識したグリーンケミストリーへと向かっています。
化学(物質の組成・構造・性質と変化を扱う学問)
ハーバー・ボッシュ法(N2+3H2 → 2NH3 による窒素固定)
合成樹脂(プラスチック)(石油由来の高分子化合物。ポリエチレンなど)
合成繊維(ナイロン・ポリエステルなど石油から作る繊維)
医薬品(アスピリン、ペニシリンなど化学合成・発酵による薬剤)
グリーンケミストリー(環境負荷を減らす持続可能な化学)
深掘り (背景・意義)
古代の化学的営みは錬金術に遡ります。卑金属を金に変えるという目標は達成されませんでしたが、その過程で蒸留・抽出・結晶化など多くの実験技術が生まれました。18世紀にはラボアジエが質量保存の法則を確立し、化学は近代科学になりました。
20世紀には原子論と量子力学を土台に、有機化学・無機化学・物理化学・分析化学・生化学などへと細分化し、医薬・農薬・電子材料・燃料電池などが社会を変えてきました。これからはカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)やマテリアルリサイクルなど、化学が地球規模課題の解決に貢献することが期待されます。
- 化学=物質の組成・構造・性質・変化を扱う
- ハーバー・ボッシュ法で世界の食糧供給が拡大
- 合成繊維・合成樹脂は20世紀の代表的成果
- ラボアジエが質量保存の法則(1774年頃)を確立
- グリーンケミストリー=環境調和型化学
- カーボンニュートラルが現代の中心課題
- 化学は薬・食・衣・住・エネルギーすべてを支える
注意点 (混同しやすい)
① 化学(chemistry)と科学(science)は別物。科学のうち物質を扱う一分野が化学。② 合成繊維(石油由来)、天然繊維(綿・羊毛・絹)、半合成繊維(セルロース由来のレーヨンなど)の区別。③ ハーバー・ボッシュ法はN2を原料、H2と反応させてNH3を作る。④ 錬金術は擬似科学だが、近代化学の母体になった。
練習
- 空気中の窒素から肥料の原料を作る方法を何というか。
- 「環境に優しい化学」を意味する英語由来の語を答えなさい。
- 合成繊維と天然繊維の例を1つずつ挙げなさい。