高校基礎 / 免疫 1 / 6

生体防御の仕組みと自然免疫

生体防御の仕組みと自然免疫

私たちの体は外部から侵入する細菌・ウイルス・異物から常に身を守っています。この仕組みを生体防御といい、その中心が免疫です。最初に働くのが自然免疫です。

基本知識

生体防御の第一段階は物理的・化学的バリアです。皮膚は角質層で異物の侵入を防ぎ、粘膜はうすい層で覆われた粘液(ムチン)でからめとります。涙や汗・だ液には殺菌作用をもつリゾチーム、胃には強い酸性の胃酸(pH1〜2)があり、ほとんどの病原体を殺します。
バリアを突破した病原体には自然免疫が働きます。中心は食細胞: 好中球マクロファージ樹状細胞です。これらは異物を食作用で取り込んで分解します。さらにNK細胞(ナチュラルキラー細胞)はウイルス感染細胞やがん細胞を直接攻撃します。自然免疫は侵入直後から数時間以内に働き、相手を問わず幅広く反応するのが特徴です。

📘 重要用語
生体防御(病原体や異物から体を守る一連の仕組み)
物理的・化学的バリア(皮膚・粘膜・リゾチーム・胃酸)
自然免疫(生まれつき備わる即時的・非特異的な免疫)
食細胞(好中球・マクロファージ・樹状細胞)
食作用(食細胞が異物を取り込み分解する働き)
NK細胞(ウイルス感染細胞・がん細胞を直接破壊するリンパ球)
炎症(傷ついた組織で起こる発赤・発熱・腫れ・痛み)

深掘り

自然免疫は約5億年以上前から進化してきた古いシステムで、植物や昆虫などにも備わっています。食細胞はパターン認識受容体(TLR)で病原体に共通する分子パターン(細菌の細胞壁成分など)を認識します。一つの抗原に特異的に反応するのではなく、「細菌っぽいもの」「ウイルスっぽいもの」をまとめて検知するのです。
傷口が赤く腫れて熱を持つ炎症反応は、ヒスタミンなどによる毛細血管の拡張と白血球の集積で起こります。発熱は病原体の増殖を抑え、免疫細胞の働きを高める防御反応です。樹状細胞は食作用後、リンパ節へ移動して獲得免疫を起動する「橋渡し役」を担います。

💡 ポイント
  • 第1関門=皮膚・粘膜・リゾチーム・胃酸の物理化学バリア
  • 第2関門=自然免疫(食細胞・NK細胞・炎症)
  • 食細胞=好中球・マクロファージ・樹状細胞の3種
  • 食作用=取り込んで分解
  • NK細胞=感染細胞・がん細胞を破壊
  • 自然免疫は即時的(数分〜数時間)・非特異的
  • 樹状細胞は獲得免疫への橋渡し役

注意点

自然免疫は非特異的(相手を選ばず反応)、後の獲得免疫は特異的(相手ごとに対応)。② NK細胞はリンパ球の一種だが自然免疫に分類される(獲得免疫ではない)。③ 食作用食胞を区別。食胞は食作用で形成される細胞内小胞。④ 炎症は害ではなく防御反応。赤・熱・腫れ・痛みの「四徴候」が古典的。

練習

  1. 自然免疫を担う食細胞を3種類すべて答えなさい。
  2. 涙やだ液に含まれる殺菌作用をもつ酵素は何か。
  3. ウイルスに感染した細胞を直接破壊するリンパ球は何か。

このレッスンのQ&A

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