高校基礎 / 生物の特徴と多様性 1 / 6

生物の共通性と多様性

生物の共通性と多様性

地球上には数千万種ともいわれる生物が存在し、姿・大きさ・暮らし方は実に多様です。一方で、すべての生物には驚くほど多くの共通点があります。多様性と共通性の両方を理解することが、生物学の出発点です。

基本知識

すべての生物に共通する5つの大原則:
細胞からできている(細胞説、シュライデン・シュワン)。
遺伝物質としてDNAをもち、子孫に情報を伝える。
エネルギーを利用して生命活動を維持する(ATPが共通のエネルギー通貨)。
体内環境(内部環境)を一定に保つ恒常性(ホメオスタシス)をもつ。
進化する(変異と自然選択で世代を経て変化)。
これらの共通性は、すべての生物が約40億年前共通祖先(LUCA: Last Universal Common Ancestor)から進化したことを示します。一方、生物は3ドメインに大別されます: 細菌(バクテリア)古細菌(アーキア)真核生物(ユーカリア)

📘 重要用語
細胞(生物の構造と機能の基本単位)
細胞説(すべての生物は細胞からなる。シュライデン1838・シュワン1839)
DNA(デオキシリボ核酸。遺伝情報を担う高分子)
ATP(アデノシン三リン酸。生物共通のエネルギー通貨)
恒常性(ホメオスタシス)(体内環境を一定に保つ働き)
進化(世代を超えて生物の形質が変化していく現象)
3ドメイン(細菌・古細菌・真核生物の最上位分類)

深掘り

生物の多様性と共通性の関係は、進化系統樹で美しく表現されます。系統樹は、現存生物のDNA塩基配列を比較することで描かれ、近縁種ほど配列が似ている、という分子生物学的事実を根拠にしています。
たとえばヒトとチンパンジーのDNAは約98.8%同一、ヒトと酵母でも基本的な遺伝子(細胞分裂・呼吸)は驚くほど保存されています。これは、生命の基本機構が共通祖先で確立し、その後ほとんど変化していないことを意味します。
1977年にカール・ウーズがリボソームRNAの配列比較から古細菌(アーキア)を発見し、従来の「原核生物vs真核生物」の二分法を「3ドメイン説」に書き換えました。古細菌は高温・高塩・無酸素など極限環境に多く生息し、深海熱水噴出孔や強酸性温泉で繁栄しています。

💡 ポイント
  • 全生物の5共通性=細胞・DNA・ATP・恒常性・進化
  • 細胞説=シュライデン(植物)・シュワン(動物)
  • 共通祖先LUCA=約40億年前
  • 3ドメイン=細菌・古細菌・真核生物
  • 古細菌はウーズが1977年に発見
  • ヒトとチンパンジーのDNA一致率は98.8%
  • 系統樹はDNA配列の比較で描かれる

注意点

細胞説はシュライデン(植物・1838)とシュワン(動物・1839)の二人が確立。順序と分野を混同しない。② 古細菌は「古い細菌」ではなく、細菌とは別系統の独立したドメイン。むしろ古細菌の方が真核生物に近縁な部分もある。③ 恒常性は単細胞生物にも見られるが、多細胞動物ほど高度。植物にも別の形で存在。④ 進化は「進歩」ではなく「変化」。退化や絶滅も進化の一形態。

練習

  1. すべての生物に共通するエネルギー通貨となる化合物は何か。
  2. 生物を3ドメインに分類した時の3つの名称をすべて答えなさい。
  3. 細胞説を植物と動物それぞれで唱えた科学者は誰か。

このレッスンのQ&A

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