高校発展 / 化学反応とエネルギー 1 / 6

反応熱とエンタルピー

反応熱とエンタルピー

化学反応に伴う熱の出入りを反応熱といい、定圧条件下のエネルギー変化をエンタルピー変化 ΔHで表します。

基本知識

反応熱の符号は反応エンタルピー変化 ΔH の符号で表現します。発熱反応はエンタルピーが減少するので ΔH<0吸熱反応は ΔH>0。代表的な反応熱の種類:
生成熱(ΔHf): 単体から1 molの化合物を生成
燃焼熱(ΔHc): 1 molの物質が完全燃焼
中和熱: 水1 molを生成する強酸強塩基中和は約56 kJ
溶解熱: 1 molの物質を多量の溶媒に溶かす
熱化学方程式は反応式の右に ΔH を併記します(例: 2H2(g) + O2(g) → 2H2O(l)、ΔH = -572 kJ)。

📘 重要用語・公式
エンタルピー H(定圧で熱量に等しい状態量。H=U+PV)
ΔH(生成物-反応物。発熱で負、吸熱で正)
生成熱 ΔHf°(標準生成エンタルピー)
燃焼熱(1 mol完全燃焼の熱量)
中和熱(強酸+強塩基で約-56 kJ/mol)
熱量計(ボンベ熱量計で発熱量測定)

深掘り (原理・応用)

標準生成エンタルピー ΔHf° は単体の標準状態を基準(0)とした各物質のエンタルピー値で、データブックに載っています。任意反応の ΔH は ΔH反応 = ΣΔHf°(生成物) - ΣΔHf°(反応物) で計算できます。
食品のカロリー表示は燃焼熱の応用で、1 kcal=4.18 kJ。ロケット燃料、火薬、暖房設計、エネルギー政策などにおいて反応エネルギーの定量計算は不可欠です。

💡 ポイント
  • 発熱: ΔH<0、吸熱: ΔH>0
  • 状態(g/l/s)を必ず明記
  • 生成熱: 単体→化合物1 mol
  • 単体の標準生成エンタルピー=0
  • 強酸強塩基の中和熱は約56 kJ/mol
  • q = mcΔT(熱量と比熱)
  • 1 kcal = 4.18 kJ

注意点 (混同しやすい・頻出ミス)

① 旧表記の「反応熱 Q」と新表記の「エンタルピー変化 ΔH」は符号が逆(Q>0 ⇔ ΔH<0)。② 物質の状態(g/l/s)で値が変わる(液体水と気体水の生成熱は異なる)。③ 弱酸弱塩基の中和熱は56 kJよりかなり小さい(電離吸熱があるため)。④ 燃焼熱は完全燃焼を仮定。

練習

  1. C(s) + O2(g) → CO2(g), ΔH = -394 kJ で、炭素12 gを燃焼した時の発熱量を求めよ。
  2. H2O(l)の標準生成エンタルピーが-286 kJ/molのとき、2H2(g)+O2(g)→2H2O(l)のΔHを求めよ。
  3. 強酸強塩基の中和熱が約-56 kJ/molとなる本質的理由を、化学反応式とともに説明せよ。

このレッスンのQ&A

読み込み中...