高校発展 / 化学反応とエネルギー 2 / 6

ヘスの法則と反応熱の計算

ヘスの法則と反応熱の計算

ヘスの法則(総熱量保存則)は「反応熱は経路によらず、始状態と終状態のみで決まる」というエネルギー保存の表現です。

基本知識

ヘスの法則により、複数の熱化学方程式を加減して目的の反応式の ΔH を計算できます。たとえばCの不完全燃焼CO生成熱は、直接測定が困難ですが:
(a) C(s)+O2(g)→CO2(g), ΔHa=-394 kJ
(b) CO(g)+½O2(g)→CO2(g), ΔHb=-283 kJ
(a)-(b): C(s)+½O2(g)→CO(g), ΔH = ΔHa-ΔHb = -111 kJ
と求められます。エンタルピーは状態量で、経路に依らないからこそ成り立つ法則です。

📘 重要原理
ヘスの法則(総熱量保存、ΔHは経路に依らない)
状態量(始状態と終状態のみで決まる量。H, U, S, G)
熱化学方程式の加減(係数倍・足し合わせ可能)
逆反応(ΔHは逆符号)
エネルギー図(エンタルピー図)(高低差で可視化)
標準生成エンタルピー表(任意反応のΔH計算の基礎)

深掘り (原理・応用)

ヘスの法則は熱力学第一法則(エネルギー保存)の化学反応への適用です。エンタルピーが状態量だからこそ、複雑な多段階反応のエネルギー変化を、簡単な基本反応の組み合わせから計算できます。
応用例: ボーンハーバーサイクルで結晶のイオン化エネルギーや格子エネルギーを推算する、生化学的反応のATP代謝経路の熱力学解析、燃料の燃焼設計、産業プロセスの熱バランス計算など。

💡 ポイント
  • ヘスの法則=経路に依らない
  • 熱化学方程式は代数的に扱える
  • 反応式を係数倍するとΔHも係数倍
  • 逆反応はΔHの符号を反転
  • ΔH反応=ΣΔHf°(生成物)-ΣΔHf°(反応物)
  • エンタルピー図で可視化が有効
  • ボーンハーバーサイクル=応用例

注意点 (混同しやすい・頻出ミス)

① 式の係数倍はΔHも同じ倍率にする。② 逆反応では符号を必ず変える。③ 物質の状態(g/l/s)を揃える(蒸発熱を考慮)。④ ΣΔHf°計算で生成物 - 反応物の順を間違えない。

練習

  1. (a) C+O2→CO2 (ΔH=-394 kJ), (b) H2+½O2→H2O(l) (ΔH=-286 kJ), (c) CH4+2O2→CO2+2H2O(l) (ΔH=-891 kJ) からCH4の生成熱を求めよ。
  2. 逆反応 CO2→C+O2 の ΔH はいくらか。
  3. ヘスの法則がエンタルピーの何という性質に基づくか答えよ。

このレッスンのQ&A

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