ハロゲン(17族)
ハロゲンはF, Cl, Br, I, Atからなる17族元素で、いずれも1価陰イオンになりやすく、強い酸化剤として働きます。
基本知識
単体はすべて二原子分子(F2, Cl2, Br2, I2)で、酸化力は F2 > Cl2 > Br2 > I2 の順。常温で F2(淡黄色気体)、Cl2(黄緑色気体)、Br2(赤褐色液体)、I2(黒紫色固体)。下方置換で発生させ、湿式の水上置換はしません。
塩素の実験室製法: MnO2 + 4HCl → MnCl2 + Cl2 + 2H2O (加熱)。工業的には食塩水電解(イオン交換膜法)。塩素水は Cl2 + H2O ⇄ HCl + HClO で次亜塩素酸HClOによる漂白・殺菌作用を示します。
ハロゲン(17族、Cl2が代表)
酸化力(F2>Cl2>Br2>I2、上に強い)
次亜塩素酸 HClO(漂白・殺菌、不安定弱酸)
ハロゲン化銀(AgF可溶、AgCl白・AgBr淡黄・AgI黄沈殿、感光性)
フッ化水素 HF(弱酸だがガラスを溶かす、SiO2+6HF→H2SiF6+2H2O)
ヨウ素デンプン反応(青紫色、I2検出)
深掘り (原理・応用)
ハロゲンの酸化力の序列は電子親和力と水和エネルギーの合計で決まります。塩素は水道水殺菌、漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)、塩化ビニル原料として年産数千万トン規模。フッ素はテフロン(PTFE)、半導体製造のエッチングガス、医薬品(SSRI、抗がん剤)などに不可欠。
ハロゲン化銀の感光性はかつての銀塩写真の原理。AgBrが光でAgに還元され、現像で増幅されます。デジタル化が進んだ現在もX線フィルム、特殊計測で使われています。
毒物学的には Cl2(第一次大戦の毒ガス)、F-(骨蓄積)、I2(甲状腺ホルモン構成元素・必須だが過剰で中毒)が重要です。
- 酸化力 F2>Cl2>Br2>I2(上に行くほど強い)
- HFのみ弱酸、HCl・HBr・HIは強酸
- HFはガラス(SiO2)を溶かす
- AgCl白・AgBr淡黄・AgI黄(NH3水で AgCl, AgBr のみ溶解)
- 塩素水=HCl+HClO、HClOが漂白・殺菌の本体
- I2はKI水溶液に
I2 + I- → I3-で溶ける - ヨウ素デンプン反応=青紫(加熱で消え、冷却で再現)
注意点 (混同しやすい・頻出ミス)
① HFだけ弱酸(水素結合のため)、他のHXは強酸。② AgFは水に可溶(唯一の例外)。③ ハロゲンと水素の反応は F2(暗所爆発)、Cl2(光で爆発)、Br2(加熱必要)、I2(高温・平衡)。④ 塩素のオキソ酸: HClO(+1) < HClO2(+3) < HClO3(+5) < HClO4(+7) の順で酸性度・酸化力が増す。
練習
- 塩素の実験室製法の反応式を書け。
- ハロゲン化銀のうち、AgClとAgBrを区別する方法を述べよ(NH3水利用)。
- HFがガラスを溶かす反応式を書け。