有機化合物の特徴と分類
炭素を骨格とする化合物群を有機化合物といい、生命・燃料・医薬・素材のほぼすべてを構成します。膨大な数(2億種超)が知られ、独自の体系で整理されます。
基本知識
有機化合物の一般的特徴: ①炭素骨格(C-C, C=C, C≡C, 環状)、②H, O, N, S, Pなど少数の元素から構成、③共有結合主体で融点・沸点が低い、④水に溶けにくく有機溶媒に溶けやすいものが多い、⑤燃焼性(燃えるとCO2+H2O)、⑥異性体が豊富。
骨格による分類: 鎖式(直鎖/枝分かれ)/環式(脂環式/芳香族)。結合による分類: 飽和(単結合のみ)/不飽和(二重・三重結合を含む)。
炭化水素: CとHのみからなる。アルカン(CnH2n+2)、アルケン(CnH2n)、アルキン(CnH2n-2)、シクロアルカン(CnH2n)、芳香族(ベンゼンC6H6等)。
官能基: ヒドロキシ基-OH(アルコール/フェノール)、カルボニル基>C=O(アルデヒド/ケトン)、カルボキシ基-COOH(カルボン酸)、アミノ基-NH2、エーテル結合-O-、エステル結合-COO-、アミド結合-CONH-。
アルカン(CnH2n+2、メタン・エタン・プロパン…)
アルケン(CnH2n、エチレン・プロピレン…)
アルキン(CnH2n-2、アセチレン…)
シクロアルカン(環式飽和、CnH2n)
芳香族(ベンゼン環を含む、特異な共鳴安定性)
官能基(化合物の化学的性質を決める原子団)
深掘り (原理・応用)
炭素が無機元素の中で特異的に多様な化合物を作る理由: ①4本の共有結合を作れる、②C-C結合エネルギー(347 kJ/mol)が大きく長い鎖が安定、③単結合・二重結合・三重結合・芳香環など結合様式が豊富、④異性(同じ分子式でも構造が違う)が容易。
Siも4本結合できますが、Si-Si結合は弱く酸化されやすいため、ケイ素化学は炭素化学ほど発達しません。生命がC基盤になった必然性です。
歴史的に1828年ヴェーラーがシアン酸アンモニウムから尿素を合成し「生気論」が崩壊。以降、合成有機化学が急速に発展し、現代の医薬品・プラスチック・繊維・染料の基盤を築きました。
- 炭素は4結合可能、多様な骨格を作る
- アルカンCnH2n+2、アルケンCnH2n、アルキンCnH2n-2
- 官能基が化学的性質を決定
- 同じ分子式でも異性体が多数
- 燃えるとCO2とH2O(完全燃焼)
- 1828年ヴェーラーの尿素合成が有機化学の出発点
- 有機化合物=2億種超(無機より圧倒的に多い)
注意点 (混同しやすい・頻出ミス)
① シクロアルカンとアルケンは同じ一般式CnH2n(構造異性体の関係)。② カルボニル基はアルデヒド/ケトン両方に含まれるが、カルボキシ基(-COOH)とは別物。③ 炭酸H2CO3は無機化合物として扱う(C含むが)。④ 不飽和度=(2n+2-H数)/2(CnHmの場合)で二重結合数+環数を表す。
練習
- 有機化合物の一般的特徴を3つ挙げよ。
- 分子式C5H10の不飽和度を計算し、考えられる構造の種類を述べよ。
- カルボニル基とカルボキシ基の違いを構造式で示せ。