元素分析と分子式の決定
未知の有機化合物の分子式を決めるには、まず元素分析で組成比を求め、次に分子量測定から分子式を確定します。入試頻出の計算問題です。
基本知識
燃焼法による元素分析(リービッヒ法): 試料を完全燃焼させ、生じたH2OとCO2を吸収管で捕集して質量を測定。
・H2O質量から H質量 = (H2O質量)×(2/18)
・CO2質量から C質量 = (CO2質量)×(12/44)
・O質量 = 試料質量 - C質量 - H質量(他元素ない場合)
各元素の質量÷原子量でmol比を求め、整数比に直して組成式(実験式)を得ます。
分子式の決定: 組成式の式量と、分子量(蒸気密度法、凝固点降下法、質量分析等で測定)の比から、分子式は組成式の整数倍。例: 組成式CH2O(式量30)、分子量60→分子式C2H4O2。
不飽和度(IDoU): CnHmNpOqXr(Xはハロゲン) → IDoU = (2n + 2 + p - m - r)/2。二重結合と環1個ずつで+1。
C質量(=CO2質量×12/44)
H質量(=H2O質量×2/18)
組成式(実験式)(最も簡単な整数比、例:CH2O)
分子式(=組成式×整数n、分子量から決定)
不飽和度(CnHm→(2n+2-m)/2)
構造式(原子の結合様式を明示した式)
深掘り (原理・応用)
現代の元素分析はCHNS分析装置(自動化)で1〜3 mgの試料で精密測定が可能。質量分析(MS)では分子量を1原子量単位の精度で測定でき、高分解能MSでは分子式を直接決定できます(例: C2H4O2=60.0211とC3H8O=60.0575を区別)。
構造決定の流れ: ①分子式 → ②不飽和度計算 → ③IR(赤外分光)で官能基同定 → ④NMR(核磁気共鳴)でH/C骨格 → ⑤MSでフラグメント → ⑥X線結晶構造解析で立体配置確定。
高校入試では「IRやNMRは扱わず、官能基の化学反応(銀鏡反応・フェーリング反応・ヨードホルム反応等)から推定」させるパターンが主流です。
- 燃焼法: C→CO2、H→H2O質量から逆算
- O質量=試料-C-H
- 組成式は最も簡単な整数比
- 分子式=組成式×n、nは分子量から決定
- 不飽和度=(2n+2-m)/2(CnHm)
- 不飽和度1=二重結合1または環1
- 現代はCHNS分析+MSが標準
注意点 (混同しやすい・頻出ミス)
① 燃焼管はCaCl2管(H2O吸収)が先、ソーダ石灰管(CO2吸収)が後(順序を逆にするとソーダ石灰がH2Oも吸う)。② 窒素を含む場合、燃焼でN2または窒素酸化物となるので別法(デュマ法等)。③ 組成式と分子式の違い: 組成式CH2Oに対し分子式はC2H4O2(酢酸)、C6H12O6(グルコース)など複数あり得る。
練習
- C, H, Oのみからなる有機化合物30 mgを完全燃焼させ、CO2 44 mg, H2O 18 mgを得た。組成式を求めよ。
- 分子量60の化合物の組成式がCH2Oであるとき、分子式を求めよ。
- C4H8の不飽和度を計算し、考えられる構造を全て描け。