熱機関と熱効率
熱エネルギーを仕事に変換する機械を熱機関といいます。どれほど効率よく変換できるかが熱効率です。
基本知識
熱機関 (heat engine) は高温熱源から熱 Q₁ を吸収し、その一部 W を仕事に変換し、残りの熱 Q₂ を低温熱源(排熱)に放出する機械です。W = Q₁ - Q₂
熱効率 e:e = W / Q₁ = (Q₁ - Q₂) / Q₁
熱効率は常に 0 < e < 1(= 0〜100%)。
熱力学第2法則: 熱は自然に高温→低温の方向にしか流れない。熱効率 100% の熱機関(第2種永久機関)は実現不可能。理想的な熱機関でも カルノー効率 が最大値:e_max = 1 - T₂/T₁(T₁, T₂ は高・低温熱源の絶対温度)
現実の熱機関(自動車エンジン約25〜35%、火力発電約40〜50%)はカルノー効率より低くなります。
熱機関 (heat engine)(熱を仕事に変換する機械。蒸気機関・内燃機関等)
熱効率 e(仕事/吸収熱量 = W/Q₁。常に1未満)
カルノー効率(理想熱機関の最大効率。e = 1 - T₂/T₁)
熱力学第2法則(熱は自然に高温→低温へ。熱効率100%は不可能)
第2種永久機関(低温熱源から熱を吸収してすべて仕事にする機関。不可能)
排熱(熱機関が仕事に変換できず低温熱源へ放出する熱 Q₂)
深掘り (背景・意義)
熱力学第2法則は「時間の矢」を示す法則でもあります。コーヒーが冷めるのは自然な方向(エントロピー増大)ですが、冷めたコーヒーが自然に温まることはありません。エネルギー量(第1法則)は変化しないが、エネルギーの「質」(使いやすさ)は常に低下していく方向です。
カルノー効率は1824年にフランスの物理学者カルノーが導きました。高温熱源と低温熱源の温度差が大きいほど効率が高くなります。超臨界圧発電では蒸気温度を上げることでカルノー効率を高め、発電効率を改善しています。
ヒートポンプ(エアコン・冷蔵庫)は熱機関の逆操作で、外部仕事を使って低温→高温へ熱を移動させます。エアコンが電力消費の3〜6倍の熱エネルギーを室内に移動できるのも、このためです(成績係数 COP)。
- W = Q₁ - Q₂(吸収熱 - 排熱)
- 熱効率 e = W/Q₁(0 < e < 1)
- カルノー効率: e_max = 1 - T₂/T₁
- 熱効率 100% は不可能(第2法則)
- 高温・低温の差が大きいほど効率↑
- 自動車エンジン: ~30%、火力発電: ~40%
- ヒートポンプは熱機関の逆操作
注意点 (混同しやすい)
① 熱効率は W/Q₁。W/Q₂ ではない(分母は「吸収した熱量」)。② カルノー効率の式の T は絶対温度(K)。℃ で計算すると誤り。③ 「熱効率 = 1」(100%)は熱力学第2法則により実現不可能。エネルギー保存則には違反しないが、熱力学的に不可能。④ ヒートポンプの「効率(COP)」は熱機関の熱効率とは異なる概念で、1 を超えることがある。
練習
- 高温熱源から 1000 J の熱を吸収し、400 J を排熱した熱機関の熱効率を求めなさい。
- 高温熱源の温度が 500 K、低温熱源が 300 K のカルノー機関の最大熱効率を求めなさい。
- 「熱効率が 100% の熱機関は実現できない」理由を熱力学第2法則を用いて説明しなさい。