高校基礎 / 熱とエネルギー 3 / 6

熱力学第1法則

熱力学第1法則

熱を加えられた物体は、内部エネルギーが増加するか、外部に仕事をするか、その両方が起こります。これを定式化したのが熱力学第1法則です。

基本知識

内部エネルギー U(ここでは熱力学の U):物体を構成する分子の運動エネルギーと位置エネルギーの総和。温度に比例して増減します。

熱力学第1法則:
ΔU = Q + W
ΔU: 内部エネルギーの変化(J)
Q: 物体が吸収した熱量(J)(吸収で正、放出で負)
W: 物体が外部からされた仕事(J)(圧縮されると正、膨張すると負)

言葉で言うと: 「内部エネルギーの変化 = 吸収した熱 + 外からされた仕事
書き方は教科書によって異なる場合があります。「W' = 物体がした仕事」とすると W = -W' となります。
これはエネルギー保存の法則の熱力学的表現です。

📘 重要用語
内部エネルギー U(物体内の分子の運動エネルギー等の総和。温度に比例)
熱力学第1法則(ΔU = Q + W。エネルギー保存の熱力学版)
吸熱・放熱(熱を吸収するQ>0、熱を放出するQ<0)
断熱変化(Q = 0 の変化。ΔU = W のみ)
等温変化(ΔU = 0。気体が等温で膨張/圧縮する変化)
定積変化(体積一定。外への仕事 W' = 0。ΔU = Q)

深掘り (背景・意義)

熱力学第1法則は「エネルギー保存の法則の熱力学版」です。熱と仕事は共にエネルギーの一形態で、相互変換が可能であることを示しています。これを最初に明確にしたのはジュール(J.P. Joule, 1843年)で、仕事と熱量の当量関係(1 cal ≈ 4.2 J)を実験で確立しました。
断熱変化(Q=0)では ΔU = W だけ。外から圧縮仕事をされると内部エネルギーが増加し温度上昇。膨張すると温度低下します。これを使うのがディーゼルエンジンで、断熱圧縮だけで軽油を自然発火させます。
等温変化(ΔU = 0)では Q = -W。気体が等温膨張するとき吸熱し、外に仕事をします。
冷蔵庫は熱力学第1法則を使った機器で、電気エネルギー(仕事)を使って冷蔵庫内の熱を外部に移動させます。

💡 ポイント
  • ΔU = Q + W(Q: 吸熱、W: 外からされた仕事)
  • 内部エネルギー = 分子の運動エネルギー総和
  • 温度↑→内部エネルギー↑
  • 断熱変化: Q=0 → ΔU = W
  • 等温変化: ΔU=0 → Q = -W
  • 定積変化: W=0 → ΔU = Q
  • 熱・仕事は共にエネルギーの形

注意点 (混同しやすい)

① W の符号の定義に注意。「外からされた仕事 W」で定義すると ΔU = Q + W。「物体がした仕事 W'」で定義すると ΔU = Q - W'。教科書によって異なる。② 「断熱」=熱の移動がない(Q=0)であり、「温度一定(等温)」ではない。断熱変化では温度は変化しうる。③ 内部エネルギーの変化 ΔU は温度変化で判断できる。温度が上がれば ΔU > 0。④ 気体だけでなく固体・液体でも熱力学第1法則は成立。

練習

  1. 気体に 500 J の熱を与え、同時に外部から 200 J の仕事をした。内部エネルギーの変化を求めなさい。
  2. 断熱変化で気体が外に 300 J の仕事をした。内部エネルギーはどう変化したか。
  3. 等温変化で気体が 400 J の熱を吸収した。このとき気体は外部に何 J の仕事をしたか。
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このレッスンのQ&A

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