比熱と熱容量・熱量の計算
同じ熱量を与えても、物質によって温度の上がり方が違います。この違いを表すのが比熱と熱容量です。
基本知識
比熱 c: 1 kg の物体の温度を 1 K(= 1℃)上げるのに必要な熱量。単位は J/(kg·K)。
水の比熱は約 4200 J/(kg·K)、鉄は約 460 J/(kg·K) など物質によって異なります。
熱容量 C: ある物体全体の温度を 1 K 上げるのに必要な熱量。単位は J/K。C = mc (質量 × 比熱)
熱量の計算式:Q = mcΔT = CΔT
Q: 熱量(J)、m: 質量(kg)、c: 比熱、ΔT: 温度変化(K または ℃)。
熱量保存の法則: 断熱容器内で混合した場合、高温体が失った熱量 = 低温体が得た熱量m₁c₁(T₁ - T) = m₂c₂(T - T₂)
比熱 c(1 kg を 1 K 上げる熱量。J/(kg·K)。物質固有の値)
熱容量 C(物体全体を 1 K 上げる熱量。C = mc、単位: J/K)
Q = mcΔT(熱量の計算式)
ΔT(温度変化。終わりの温度 - 始めの温度)
熱量保存の法則(外部との熱授受がない場合、得た熱量=失った熱量)
水の比熱(約 4200 J/(kg·K)。他の物質より格段に大きい)
深掘り (背景・意義)
水の比熱が大きいことは地球環境に大きな影響を与えています。海は大量の水を持つため、熱を大量に蓄えて温度変化が緩やかです。これが海洋性気候(温暖で温度差が小さい)の原因です。砂漠(砂の比熱は小さい)は昼と夜の温度差が激しいのと対照的です。
また、人体の体温調節にも水の大きな比熱が重要な役割を果たしています。体の多くが水で構成されているため、少し熱量が変化しても体温が急変しません。
熱量保存の法則を使った混合問題では「高温体が失った熱 = 低温体が得た熱」を立式するのが基本です。この計算では断熱容器(外部との熱のやり取りがない)という条件が必要です。
- 比熱: 1 kg を 1 K 上げる熱量 [J/(kg·K)]
- 熱容量 C = mc (物体全体の熱容量)
- Q = mcΔT = CΔT
- 水の比熱: 4200 J/(kg·K)(大きい)
- 混合: 高温が失った熱 = 低温が得た熱
- ΔT は変化量(終 - 始)
- 比熱が大→温まりにくく冷めにくい
注意点 (混同しやすい)
① 比熱(単位質量あたり)と熱容量(物体全体)を混同しない。「比熱が大きい = 比熱容量が大きい」は正しいが、「熱容量が大きい = 比熱が大きい」は質量によるので必ずしも正しくない。② ΔT は 終わり - 始まり。冷えるときは負になる。③ 混合問題では断熱を前提にする。④ 温度変化 ΔT は ℃ でも K でも同じ数値(差だから)。計算では どちらを使っても OK。
練習
- 質量 2 kg の水(比熱 4200 J/(kg·K))を 20℃ から 70℃ に加熱するのに必要な熱量を求めなさい。
- 質量 0.5 kg の鉄(比熱 460 J/(kg·K))の熱容量を求めなさい。
- 100℃ の水 0.2 kg と、20℃ の水 0.3 kg を混合した。混合後の温度を求めなさい(水の比熱は等しいので消去できる)。