高校発展 / 熱力学 1 / 6

温度・熱量・比熱

温度・熱量・比熱

熱力学の土台は「温度」と「熱量」の区別です。日常語と物理用語の違いを明確にしてから、比熱・熱容量を定量的に扱えるようになりましょう。

基本知識

温度 (temperature) は物体の冷たさ・熱さの尺度であり、分子の平均運動エネルギーに対応します。SI単位はケルビン [K] で、セルシウス温度との関係は T [K] = t [℃] + 273.15
熱量 (heat) Q [J] は温度差のある物体間で移動するエネルギーの量です。
比熱 (specific heat capacity) c [J/(kg·K)] は物質 1 kg を 1 K 上昇させるのに必要な熱量です。
Q = mcΔT(m: 質量 [kg],Δ T: 温度変化 [K])
熱容量 (heat capacity) C [J/K] は物体全体を 1 K 上昇させる熱量。C = mcQ = CΔT
断熱容器内で物体 A・B が熱平衡になるとき、熱量保存則: Q放出 = Q吸収

📘 重要用語
絶対温度 T [K](分子運動が完全に停止する 0 K = −273.15 ℃ を基点とする温度)
比熱 c [J/(kg·K)](物質固有の熱のしやすさ。水は 4.2×10³ J/(kg·K) と大きい)
熱容量 C [J/K](物体全体の「熱のため込みやすさ」。C = mc)
熱量保存則(断熱系では放出熱量 = 吸収熱量)
熱平衡 (thermal equilibrium)(接触した物体間で熱移動がなくなり同温度になった状態)

深掘り (背景・意義)

「水は比熱が大きい」ことは気候に深く影響します。海は温まりにくく冷めにくいため、沿岸地域は内陸より年較差が小さくなります(海洋性気候)。
熱量の単位には歴史的に cal (カロリー) も使われます。1 cal = 4.19 J(ジュールの等価実験)。食品カロリーの「kcal」はこれ。
温度の「測定」は熱力学第0法則(A と B が同じ物体 C と熱平衡ならば A と B も熱平衡)に基づいています。これは温度計が機能する根拠です。
入試計算でよく現れる「熱量収支」問題では、高温側の放出熱量 = 低温側の吸収熱量 を立式し、それぞれ Q = mcΔT で表して解きます。相変化(融解・蒸発)がある場合は潜熱Q = mL を追加する必要があります。

💡 ポイント
  • 温度と熱量は別の物理量。温度 = 状態量、熱量 = 移動エネルギー
  • Q = mcΔT。c(比熱)は物質固有、C(熱容量)は物体固有
  • 断熱容器: 高温体の放出熱量 = 低温体の吸収熱量
  • 絶対温度 T = t + 273.15 を公式で使う
  • 相変化があれば潜熱 Q = mL を忘れない

注意点 (混同しやすい)

比熱(単位質量あたり)と熱容量(物体全体)を取り違えない。② 「温度が高い = 熱量が多い」は一般に成立しない(比熱・質量が違えば逆転もある)。③ Δ T は ℃ で計算しても K と同じ値になる(差だから)が、T 単体には必ず K を用いる。④ 熱量保存則を立てるとき、放出側を正として書く習慣が安全。

練習

  1. 比熱 0.50 kJ/(kg·K)、質量 2.0 kg の金属に 300 J の熱量を与えると温度は何 K 上昇するか。
  2. 100 ℃ の鉄球 500 g(比熱 0.45 J/(g·K))を 20 ℃ の水 1.0 kg(比熱 4.2 J/(g·K))に入れたとき、熱平衡温度を求めよ。
  3. 絶対温度 300 K は摂氏何度か。

このレッスンのQ&A

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