高校発展 / 熱力学 2 / 6

内部エネルギーと熱力学第1法則

内部エネルギーと熱力学第1法則

気体の「内側」に蓄えられたエネルギーとは何か。外部との熱のやり取りと仕事の関係を熱力学第1法則として定式化します。

基本知識

内部エネルギー U [J] は気体を構成する分子の全運動エネルギー + ポテンシャルエネルギーの総和です。単原子理想気体では U = (3/2)nRT(n: モル数,R: 気体定数,T: 絶対温度)。
熱力学第1法則: 気体が吸収した熱量 Q、外部からされた仕事 W を受け取ると内部エネルギーは
ΔU = Q + W(W は外部から気体への仕事)
あるいは「気体が外部にした仕事」を W'(= −W)と書けば Q = ΔU + W'
典型的な変化過程:
等温変化: ΔT = 0 → ΔU = 0 → Q = W'(吸熱 = 仕事)
定積変化: ΔV = 0 → W' = 0 → Q = ΔU
定圧変化: 圧力一定 → W' = pΔV,Q = ΔU + pΔV
断熱変化: Q = 0 → ΔU = −W'(膨張すると温度低下)

📘 重要用語
内部エネルギー U(気体の熱力学的状態量。理想気体では温度のみに依存)
熱力学第1法則(エネルギー保存則の熱力学版: ΔU = Q + W)
等温・定積・定圧・断熱変化(4つの準静的過程)
pV 図(圧力 p を縦軸、体積 V を横軸にとった状態変化の図。面積が仕事)
準静的過程 (quasi-static process)(系が常に平衡状態を保ちながら変化する理想的なプロセス)

深掘り (背景・意義)

pV 図上でサイクル(閉じた曲線)が囲む面積は、気体が 1 サイクルで外部に行う正味の仕事に等しいです。これが熱機関の効率を視覚化する強力なツールです。
単原子理想気体の定圧モル比熱 Cp = (5/2)R、定積モル比熱 Cv = (3/2)R、その差は Cp − Cv = Rマイヤーの関係)。定圧の方が比熱が大きい理由は、温度上昇に使うエネルギーに加えて膨張仕事のエネルギーも必要なため。
断熱膨張では気体温度が下がる。これが雲の生成(大気が上昇断熱冷却)やスプレー缶が冷える現象の物理的根拠です。

💡 ポイント
  • ΔU = Q + W(W は外部から気体への仕事)の符号ルールを徹底
  • 理想気体 U は T にのみ依存 → 等温変化では ΔU = 0
  • 定積変化: 仕事なし → Q = ΔU
  • 断熱変化: Q = 0 → 膨張すると温度低下
  • pV 図の閉曲線の面積 = 正味仕事

注意点 (混同しやすい)

① 「外部から気体への仕事 W」と「気体が外部にする仕事 W'」で符号が逆。問題の定義を最初に確認すること。② 等温変化でも Q ≠ 0(外部との熱交換で温度を保っている)。③ 断熱変化≠定温変化。断熱 (Q = 0) では温度変化する。④ 内部エネルギーは状態量なので経路によらず ΔU は始点・終点だけで決まる。

練習

  1. 気体が 500 J の熱を吸収し、外部に 300 J の仕事をした。内部エネルギーの変化量を求めよ。
  2. 単原子理想気体の定積変化で温度が 100 K 上昇した。1 mol あたりの吸熱量を求めよ(R = 8.3 J/(mol·K))。
  3. 断熱膨張で気体が 400 J の仕事を外部にした。内部エネルギーはどう変化するか。

このレッスンのQ&A

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