核反応とE=mc²・核エネルギー
核反応では質量の一部がエネルギーに転換されます。アインシュタインの質量エネルギー等価原理とその応用を学びます。
基本知識
質量エネルギー等価原理(アインシュタイン、1905年):E = mc²(c = 3.0 × 10⁸ m/s)
質量 1 u(原子質量単位 = 1.66 × 10⁻²⁷ kg)に相当するエネルギー: 約 931.5 MeV
質量欠損(結合エネルギー):
核の質量は構成核子(陽子 + 中性子)の質量の和より小さい。その差 Δm の質量が結合エネルギーとして放出済み:Δm = Zm_p + Nm_n − M_核、E_結合 = Δm × c²
核分裂と核融合:
・核分裂: 重い核(²³⁵U など)が中性子を吸収して分裂 → 莫大なエネルギー放出 → 原子炉・原子爆弾
・核融合: 軽い核(²H + ³H → ⁴He + n)が合体 → さらに大きなエネルギー → 太陽のエネルギー源・水素爆弾・ITER
核反応での保存則: 質量数保存(A 保存)、電荷数保存(Z 保存)、エネルギー・運動量保存。
E = mc²(質量エネルギー等価。m が小さくてもc²が巨大なのでエネルギーは大)
質量欠損 Δm(核の実際の質量と核子の質量和の差)
結合エネルギー(核子を核に結びつけるエネルギー。Δmc²)
核分裂 (fission)(重核が分裂。²³⁵U + n → 分裂片 + 中性子 + エネルギー)
核融合 (fusion)(軽核が合体。太陽の主エネルギー源)
連鎖反応(核分裂で出た中性子が次の分裂を誘発。原子炉で制御)
深掘り (背景・意義)
1 g の質量が完全にエネルギーに転換されると: E = mc² = 0.001 × (3×10⁸)² = 9 × 10¹³ J。これはTNT火薬約2万トン相当の爆発エネルギーです。化学反応での質量変化は小さすぎて測定できませんが、核反応では測定可能なレベルの質量欠損が起きます。
太陽のエネルギーは主に陽子-陽子連鎖反応(pp連鎖)による核融合で、1秒間に約4× 10⁹ kg の質量がエネルギーに転換されています。太陽は現在約50億年燃え続けており、あと約50億年は安定して輝き続けます。
核融合発電(ITER: 国際熱核融合実験炉)は燃料が豊富で廃棄物問題も核分裂より小さいため次世代エネルギーとして期待されていますが、プラズマ閉じ込め技術が課題です(「常に20年後に実用化」と言われてきた分野)。
- E = mc²(質量とエネルギーの等価)
- 1 u ≈ 931.5 MeV
- 質量欠損 Δm → 結合エネルギー Δmc²
- 核分裂: 重核 + n → 分裂片 + エネルギー
- 核融合: 軽核合体 → エネルギー(太陽の源)
- 保存則: A・Z・エネルギー・運動量
- 連鎖反応を制御するのが原子炉
注意点 (混同しやすい)
① 質量欠損 Δm は「消えた」のではなく、結合エネルギーとして放出済み(核生成時)。② 核分裂(重核→軽核)と核融合(軽核→重核)のエネルギー収支はどちらも質量欠損から来る。③ 核反応での保存則(A, Z の保存)を必ず確認。④ 「E = mc²」は静止質量エネルギー; 運動している粒子では E² = (pc)² + (mc²)² が正確。
練習
- 質量欠損 Δm = 3.0 × 10⁻²⁹ kg の核反応で放出されるエネルギーを求めよ(c = 3.0 × 10⁸ m/s)。
- 核分裂と核融合の違いを「核の大きさ(軽重)」と「エネルギーの出方」の観点で説明しなさい。
- 核反応 ²H + ³H → ⁴He + ? において ? を答えなさい。また質量数と陽子数を保存則から確認せよ。