反発係数(はね返り係数)
反発係数 e(coefficient of restitution)は衝突の「弾み具合」を数値化した量です。運動量保存と組み合わせて衝突後の速度を完全に決定します。
基本知識
反発係数の定義:e = (v2 − v1) / (v1 − v2)
= 衝突後の相対速度(離れる速さ)/ 衝突前の相対速度(近づく速さ)
e の範囲: 0 ≤ e ≤ 1
・e = 1: 完全弾性衝突(相対速度の大きさ保存)
・e = 0: 完全非弾性衝突(合体、相対速度ゼロ)
・0 < e < 1: 非弾性衝突(現実の多くの衝突)
壁への衝突(壁は動かない):e = v' / v(v: 壁に当たる前の速さ、v': 跳ね返りの速さ)
運動量保存則 + 反発係数の式を連立して v1, v2 を求めます。
反発係数: e = (v2 − v1) / (v1 − v2)
e = 1: 弾性衝突(相対速度の大きさ不変)
e = 0: 完全非弾性衝突(合体)
壁への衝突: e = |v'| / |v|
連立方程式: 運動量保存 + e の式 → v1, v2 を決定
深掘り(背景・意義)
反発係数の定義式を変形すると: v2 − v1 = −e(v2 − v1)。これは「衝突後の相対速度が衝突前の相対速度を e 倍した逆向き」であることを意味します。e = 1 なら相対速度の大きさが保たれ(弾性衝突の等価条件)、e = 0 なら相対速度がゼロ(合体)となります。
反発係数は材料・形状・速度によって異なります。テニスボール e ≈ 0.7、スーパーボール e ≈ 0.9、粘土 e ≈ 0。
e の式は「エネルギー保存」を使わずに弾性衝突を扱う別の方法を提供します。運動量保存(1式)+ 反発係数(1式)= 2式で2未知数が解けます。この方法の方がエネルギー保存式(2次方程式)より計算が楽です。
床にボールを落とす問題: 高さ h₀ から落として跳ね返りの高さが h' のとき、e = √(h'/h₀)(速さ ∝ √h の関係から)。
- e = 離れる相対速度 / 近づく相対速度
- 0 ≤ e ≤ 1
- e = 1 → 弾性衝突
- e = 0 → 完全非弾性衝突(合体)
- 運動量保存 + e の式 → 2式連立
- 床からの跳ね返り:e = √(h'/h₀)
- 分母が「近づく速さ」、分子が「離れる速さ」
注意点(混同しやすい)
① 分子と分母を逆にしない(e > 1 になったら間違い)。② 速度の符号(向き)を正確に代入する。定義式の v1, v2 は正方向の速度成分。③ e = 1 でも「エネルギー保存則と等価」だが、e の式を使う方が計算が簡単。④ 壁衝突では壁の速度 = 0 として代入すればよい。
練習
- 速度 3.0 m/s の物体が静止している等質量の物体に反発係数 e = 0.5 で衝突した。衝突後の各物体の速度を求めよ。
- ボールを高さ 1.25 m から落としたら 0.80 m まで跳ね返った。反発係数を求めよ。
- 反発係数の定義を「相対速度」を用いて説明せよ。