高校発展 / 運動量と保存則 3 / 6

弾性衝突と非弾性衝突

弾性衝突と非弾性衝突

衝突にはエネルギーが保存される弾性衝突と、失われる非弾性衝突があります。両者の違いと解法を習得します。

基本知識

弾性衝突(完全弾性衝突): 運動量保存 + 運動エネルギー保存が成立。
連立すると(質量 m₁, m₂、衝突前速度 v1, v2):
v1 = (m₁−m₂)v1 + 2m₂v2 / (m₁+m₂)
v2 = 2m₁v1 + (m₂−m₁)v2 / (m₁+m₂)
特殊ケース(m₁ = m₂、v2 = 0): 速度が入れ替わる(v1 = 0、v2 = v1)

非弾性衝突: 運動量保存のみ成立。運動エネルギーは一部失われる(熱・音・変形)。
完全非弾性衝突(合体): v' = (m₁v1 + m₂v2)/(m₁+m₂)

エネルギー損失: ΔE = ½m₁v1² + ½m₂v2² − (½m₁v1² + ½m₂v2²) ≥ 0

📘 重要公式
弾性衝突: 運動量保存 + エネルギー保存(2式連立)
完全非弾性衝突: v' = (m₁v1 + m₂v2)/(m₁+m₂)
等質量弾性衝突: 速度が入れ替わる
エネルギー損失: 衝突前後のKEの差(≥ 0)
弾性条件: ½m₁v1² + ½m₂v2² = ½m₁v1² + ½m₂v2²

深掘り(背景・意義)

弾性衝突の連立方程式を解くとき、エネルギー保存式は「速度の2乗」が含まれるため直接解くと複雑です。代わりに「相対速度の逆転」という等価条件を使うと計算が簡単になります(これが反発係数 e = 1 に対応)。
原子・分子レベルの衝突は理想的な弾性衝突に近く、気体分子運動論の基礎です。一方、日常の衝突(車・ボール・人)は程度の差はあれ非弾性衝突です。
完全非弾性衝突でエネルギー損失が最大になります。損失エネルギー ΔE = μΔv²/2(μ は換算質量 m₁m₂/(m₁+m₂)、Δv は相対速度)という形でも表されます。
ニュートンのゆりかご(金属球が連なる実験装置)は弾性衝突(等質量)の速度入れ替わりを視覚化したものです。

💡 ポイント
  • 弾性:運動量 + エネルギー両方保存
  • 非弾性:運動量のみ保存(KE は減少)
  • 完全非弾性(合体):KE損失が最大
  • 等質量弾性衝突:速度が入れ替わる
  • 弾性衝突の等価条件:相対速度が逆転
  • ΔE ≥ 0(エネルギーは増えない)
  • 2式(保存則2本)→ 2つの未知数

注意点(混同しやすい)

① 「衝突では運動量保存」と覚えるが、弾性のみエネルギーも保存。② 弾性衝突の計算は保存則2式連立が正攻法。③ 完全非弾性衝突は最もエネルギーを失う(最小KE後)。④ エネルギー損失は常に ≥ 0。衝突後にKEが増加することはない(外部から仕事が必要)。

練習

  1. 質量 m の球が静止している等質量の球に弾性衝突した。衝突後の両者の速度を求めよ。
  2. 質量 1.0 kg(速度 4.0 m/s)と質量 3.0 kg(静止)が完全非弾性衝突した。衝突後の速度と失われた運動エネルギーを求めよ。
  3. 弾性衝突と非弾性衝突で共通に成立する保存則は何か。
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このレッスンのQ&A

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