高校発展 / 万有引力と惑星運動 5 / 6

万有引力ポテンシャルと力学的エネルギー

万有引力ポテンシャルと力学的エネルギー

万有引力の位置エネルギー(ポテンシャル)の概念を使うと、宇宙スケールの運動をエネルギーで統一的に扱えます。

基本知識

万有引力ポテンシャルエネルギー(無限遠を基準 U = 0):
U = −GMm/r(負の値、r が小さいほど小さい=深い束縛)

力学的エネルギー保存: E = ½mv² − GMm/r = 一定(空気抵抗なし)

力学的エネルギーの符号と軌道の関係:
E < 0: 束縛された軌道(円・楕円)→ 脱出できない
E = 0: 放物軌道(脱出速度ちょうど)→ 無限遠で v = 0
E > 0: 双曲線軌道(脱出後も速度あり)

円軌道でのエネルギー:
重力 = 向心力 より v² = GM/r
E = −GMm/(2r)(円軌道では E = U/2 = −KE)

📘 重要公式
ポテンシャル: U = −GMm/r(負の値)
力学的エネルギー: E = ½mv² − GMm/r = const
E < 0: 楕円軌道(束縛)
E = 0: 放物軌道(脱出ちょうど)
円軌道での E: E = −GMm/(2r)(KE と U の関係: KE = −E)

深掘り(背景・意義)

円軌道では E = −GMm/(2r) という興味深い結果があります。r が大きい(高い軌道)ほど E が大きく(負の絶対値が小さい)、実はエネルギーが高い状態です。衛星を高い軌道に上げるには仕事をする(エネルギーを与える)必要があり、これは直感と一致します。
ただし、軌道が上がると速度は遅くなります(v = √(GM/r) で r 増加 → v 減少)。KE は小さくなるが PE が大きく増加(負から大きい方向へ)する結果、合計 E は増加します。
力学的エネルギーの符号による軌道の分類は、天文学で実際の天体の運命(周回するか離脱するか)を判断するのに使われます。例えば彗星の軌道が E < 0 なら太陽に束縛された楕円軌道(周期的に戻ってくる)、E > 0 なら一度きりの訪問です。
ビリアル定理: 重力系では「時間平均の KE = −E、時間平均の U = 2E」が成り立ちます(円軌道では瞬間値も同じ)。

💡 ポイント
  • U = −GMm/r(無限遠が基準、常に負)
  • E = KE + U = 定数(エネルギー保存)
  • E < 0 → 楕円・円(束縛)
  • E = 0 → 放物軌道(脱出ギリギリ)
  • E > 0 → 双曲線(脱出後も速度あり)
  • 円軌道: E = −GMm/(2r) = U/2
  • 高い軌道 = 力学的エネルギーが高い(遅くても)

注意点(混同しやすい)

① U = −GMm/r はの値。「位置エネルギーが高い」は U がゼロに近い(= r が大きい)。② 速度が遅い(KE 小)高軌道でも E が大きいのは PE(負だが絶対値が小さい)の効果。③ 「エネルギー保存」は力学的エネルギー保存(空気抵抗なし)。摩擦がある場合は成立しない。④ 円軌道の E = −KE = U/2 という関係は円軌道特有(楕円では時間平均値として成立)。

練習

  1. 地表(r = R)から打ち出した物体が無限遠(r → ∞)に達するための最低初速度を求めよ(これが第2宇宙速度)。
  2. 軌道半径 r の円軌道上の衛星の力学的エネルギーを G, M, m, r で表せ。
  3. 力学的エネルギー E の符号が正・負・ゼロのとき、それぞれの軌道の種類を答えよ。
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このレッスンのQ&A

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