高校基礎 / 大気と海洋の構造 3 / 6

海水の塩分と温度構造

海水の塩分と温度構造

海水は単なる「塩水」ではなく、様々な塩類が溶け込んだ複雑な溶液です。また深さによって温度・密度が大きく異なります。

基本知識

海水の塩分: 1 kgの海水中に溶けている塩類の質量を塩分(‰ = psu)で表します。世界平均は約35‰(35 psu)。主な成分は塩化ナトリウム(NaCl)が約77%を占め、次いで塩化マグネシウム・硫酸マグネシウムなど。
塩分が高い海域: 蒸発が多い熱帯・亜熱帯(地中海: 約38‰)。塩分が低い海域: 降水・河川水の流入が多い高緯度・河口付近(バルト海: 約10‰)。
海水の鉛直温度構造:
表層混合層(0〜100〜200 m): 風と波で上下がよく混合。表面水温は太陽放射で温められ、熱帯では約25〜30℃。
水温躍層(サーモクライン)(100〜1000 m): 深さとともに水温が急激に低下する層。密度が急増し対流を抑制。
深層・底層(1000 m以深): 水温は約0〜4℃で安定。密度が大きい。
密度は水温が低いほど・塩分が高いほど大きくなります。

📘 重要用語
塩分(1 kgの海水中の塩類の質量。世界平均約35‰)
表層混合層(風と波で混合された表層。太陽放射で暖かい)
水温躍層(サーモクライン)(水温が急激に変化する層。対流抑制)
深層(水温0〜4℃、高密度、安定)
密度躍層(ピクノクライン)(密度が急変する層。水温躍層と対応)

深掘り

水温と塩分は海水の密度を決める2大要因です。高緯度では表面水が冷やされて密度が増し沈み込みやすくなります(深層水の形成)。一方熱帯では蒸発で塩分が上がっても水温が高いため密度増加を打ち消し、表面水が沈み込みにくいです。
日本近海では表層水温が夏季に30℃近くになる海域があり、台風のエネルギー源となります。台風は暖かい海水から蒸発した水蒸気が凝結するときの潜熱をエネルギー源としています。
深海は光が届かず(無光層: 200 m以深)、光合成はできませんが、熱水噴出孔では化学合成細菌を底辺とする生態系が成立しています。深海魚や深海生物の多様性は近年のROV(遠隔操作型無人探査機)で急速に解明されつつあります。

💡 ポイント
  • 海水平均塩分 ≈ 35‰(主成分NaCl)
  • 塩分が高い=蒸発>降水の海域
  • 表層混合層→水温躍層→深層の3層構造
  • 水温躍層=温度急変・対流抑制
  • 密度∝塩分・∝(1/温度)
  • 深層水=高密度・低温(0〜4℃)

注意点

① 水温と密度の関係は水(淡水)と海水でわずかに異なる(淡水は4℃で最大密度、海水は凝固点まで密度増加)。② 水温躍層は季節・緯度によって深さが変化する。熱帯では年中存在するが高緯度では季節変動が大きい。③ 塩分は質量比(パーミル=‰)で表す。体積比ではない。

練習

  1. 世界の海水の平均塩分はおよそ何‰か。主な成分も答えなさい。
  2. 水温躍層とは何か、その役割とともに説明しなさい。
  3. 深層水の温度はおよそ何℃か。また深層水が形成されやすい場所(緯度)を答えなさい。
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このレッスンのQ&A

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