自律神経系と内分泌系 恒常性の二大制御系
体内環境の恒常性(ホメオスタシス)は自律神経系と内分泌系(ホルモン)の2系統が協調して維持します。両者の特性の違いを正確に理解しましょう。
基本知識
自律神経系: 中枢(視床下部・脳幹・脊髄)から末梢臓器へ神経線維で命令を伝える。
・交感神経: 「闘争か逃走」反応。心拍増加・瞳孔散大・気管支拡張・消化抑制・血糖上昇。神経伝達物質=ノルアドレナリン(末梢)、アドレナリン(副腎髄質から血中へ)。
・副交感神経: 「安静・消化」反応。心拍減少・瞳孔縮小・消化促進。神経伝達物質=アセチルコリン。
・両者は多くの臓器に拮抗的に作用し、微細な調節を実現。
内分泌系(ホルモン): 内分泌腺から血液中にホルモンを分泌し、血流で全身に運ぶ。
・作用は遅いが持続的で広範囲に及ぶ。
・標的細胞のみが受容体(レセプター)を持ちホルモンに応答する。
・主な内分泌腺: 視床下部・脳下垂体・甲状腺・副甲状腺・副腎(皮質・髄質)・膵臓・性腺・腎臓。
ホルモンの化学的分類:
① ペプチドホルモン(インスリン・グルカゴン・ADH): 細胞膜表面の受容体に結合→細胞内シグナル伝達。
② ステロイドホルモン(副腎皮質・性ホルモン): 脂溶性で細胞膜を通過→細胞内受容体に結合→直接遺伝子発現調節。
③ アミノ酸誘導体(チロキシン・アドレナリン)。
例題: 次の反応が交感神経と副交感神経のどちらに支配されているか答えなさい。また、各反応の生物学的意義を説明しなさい。(ア)心拍数増加 (イ)消化管の蠕動運動亢進 (ウ)瞳孔散大 (エ)唾液分泌増加
解答: (ア)心拍数増加=交感神経。危機時に全身への血液・酸素供給を増やす。(イ)消化管蠕動亢進=副交感神経。安静時に消化吸収を促進する。(ウ)瞳孔散大=交感神経。暗所や危機時に視野を広げる。(エ)唾液分泌増加=副交感神経。消化準備として唾液アミラーゼを分泌する。
解答: (ア)心拍数増加=交感神経。危機時に全身への血液・酸素供給を増やす。(イ)消化管蠕動亢進=副交感神経。安静時に消化吸収を促進する。(ウ)瞳孔散大=交感神経。暗所や危機時に視野を広げる。(エ)唾液分泌増加=副交感神経。消化準備として唾液アミラーゼを分泌する。
ポイント
- 交感神経=闘争・逃走。ノルアドレナリン(末梢)
- 副交感神経=安静・消化。アセチルコリン
- 交感↑=心拍↑・瞳孔散大・消化抑制・気管支拡張
- 副交感↑=心拍↓・瞳孔縮小・消化促進
- ホルモン=血液で全身へ・遅い・持続的
- ペプチドホルモン=細胞膜受容体、ステロイド=細胞内受容体
練習
- 交感神経と副交感神経の神経伝達物質をそれぞれ答えなさい。
- ステロイドホルモンが細胞内受容体に作用する仕組みを説明しなさい。
- 自律神経系とホルモンによる調節の速度と持続性を比較しなさい。